【転スラ】世界地図を参考にして各国の情勢を調査！魔王が支配する土地も

まず『転スラ』こと『転生したらスライムだった件』という作品に関して簡単に紹介します。『転スラ』の作者、概要とあらすじをまとめていきます。

『転スラ』こと『転生したらスライムだった件』の作者は伏瀬（ふせ）さんです。1975年11月23日生まれのライトノベル作家であり、2013年から『小説家になろう』に『転生したらスライムだった件』の投稿を開始しました。伏瀬さんはSNSなどによる情報発信を行っておらず、表舞台にはほぼ登場していないため、詳しいプロフィールなどは明らかになっていません。

『転スラ』こと『転生したらスライムだった件』は、もともとネット上の小説投稿サイト『小説家になろう』に投稿された作品です。2013年から投稿開始され、2014年には書籍化することになりました。その後、2015年からは川上泰樹さん作画の漫画が『月刊少年シリウス』で連載されるようになり、テレビアニメ化、劇場アニメ化など、メディアミックス化が進んでいます。今では一般的となった「異世界転生」の代表作が、『転生したらスライムだった件』なのです。

『転スラ』の主人公である三上悟は、ある日通り魔に襲われたことで死亡し、異世界でスライムに転生しました。魔物やスキルが存在する異世界で生きることになった直後に暴風竜ヴェルドラと友人となることで「リムル＝テンペスト」という名前を得ます。その後、多くの魔物たちを配下にし、ジュラの森に一大勢力を築いていくことになります。同じ日本からの転移者であるシズとの出会いや魔王との戦いなどを経てリムルは世界情勢の中心へと踏み込むことになるのです。

『転スラ』の世界地図には、複数の国や土地が描かれています。この地図に書かれているのが、この世界におけるすべての勢力ではありませんが、それでも大国や八星魔王（オクタグラム）が支配する地はほぼ網羅されています。ここでは『転スラ』世界地図を参考に、各勢力の情勢を解説していきます。

ジュラ・テンペスト連邦国は、八星魔王の一角リムル・テンペストが治める国であり、地理的には大陸中央のジュラの大森林に位置しています。ジュラの森はもともと暴風竜ヴェルドラが封印されていた地だったため、魔王たちの間でも不介入の地として定められていました。しかしリムルが魔物たちを従えて領地を発展させていき、武力も文化も優れた国として次第に各勢力にも認められていくこととなったのです。

ドワルゴン王国は中立を謳う武装国家であり、ドワーフを中心とした国です。英雄王ガゼルが君主である軍事国家であり、リムルが率いるテンペストと早期に友好関係を築いた国でもあります。また、ガゼルとリムルは剣の兄弟弟子の関係にあり、それもまたドワルゴンとテンペストの友好関係を促進することになりました。

ファルムス王国は、世界地図上では中心部に近く、ジュラの大森林の北西部に位置する国です。リムルと近しいキャラで言えば、ヨウムの出身国になります。ファルムス王国は周辺国から評判が悪く、他国へ侵略することを厭いません。事実ファルムス王国はテンペスト連邦国に侵略を仕掛けました。結果『転スラ』作中で初めてリムルの本気の怒りを買うことになり、数万人の兵士を皆殺しにされたあげく、英雄ヨウムを王として擁立され、新たにファルメナス王国へと変わることになりました。

ブルムンド王国は、西方評議会に属する国家であり、農耕や牧畜を主産業とする国家です。国としての力は近隣諸国に比べて弱いものの、情報収集に余念がなく、各勢力との間でうまく立ち回ることに優れています。リムルが最も早く関わることになった人間の国でもあり、テンペストと友好関係になってからはその恩恵を多大に受けるようになると共に、テンペストの外国との交易の窓口として発展することにもなりました。

ルベリオスは、八星魔王のルミナス・バレンタインが支配する国です。しかしこの真実は一部の者以外には明かされておらず、表向きには唯一神ルミナスを進行する宗教国家として知られています。そのため国民のほとんどがルミナス教の信者から構成されています。魔物排斥などのルミナス教の教義は歴史的に勝手に加えられたものに過ぎず、もともとは吸血鬼であるルミナスが、幸福な国民から生気を提供してもらう代わりに庇護を与えるというシステムが始まりでした。

イングラシア王国は、ほぼ大陸の中央部に位置する国です。各国の調停を担う評議会の本部がある国でもあります。さらに自由組合の本部もあり、大陸中央部の交通の要としても機能しています。王都を中心に、建築や文化が高い水準のものとなっており、テンペストの影響を受け始めた国以上の発展を見せています。

東の帝国は、正式名称がナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国といいます。ジュラの森を挟んで大陸北東側一帯を支配する国です。君主は、統一皇帝ルドラ・ナム・ウル・ナスカです。帝国は圧倒的な武力を背景とした覇権主義を掲げており、魔王が支配していない人間の国でありながら大きな勢力となっています。大陸西側が安定してきた後、リムル達テンペスト連邦国と争う事になります。

魔導王朝サリオンは、巨大な神樹の中に築かれた国です。君主としてエルフ族である天帝エルメシアが君臨し、その下に十三王家が連なっています。リムルが人間の中で最もはやく交流をもった冒険者のエレンは、実はこのサリオン出身であり、しかも十三王家の一角であるエラルドの娘です。サリオンに伝わる魔王に関する御伽噺をエレンがリムルに教えたことが、リムルが覚醒魔王となるきっかけとなっています。

ウルグレイシア共和国は、精霊魔法の使い手によって構成された国です。『転スラ』作中ではほとんど登場しない国ですが、テンペスト移住前の魔王ラミリスの住処への入り口があった国でもあります。

ユーラザニア獣王国は、魔王カリオンが支配していた国であり、主に獣人族を中心として構成されています。果物が名産品であり、テンペストとの貿易品目となっていました。クレイマンの謀略の中でミリムがユーラザニアに攻め込んできた際に、カリオンとの戦闘の余波でこの国は致命的な被害を受けました。ただしその後、カリオンが魔王を辞退しミリムの配下となったことで、ユーラザニアはミリムの領地となり、またテンペストの援助もあって復興していくこととなりました。

シルトロッゾ王国は北海に面した小さな国であり、主に貿易の中継点として利用されています。国として大きな勢力を築いていませんが、ロッゾ一族は世界経済を牛耳るべく暗躍しており、西方評議会を支配するほどの影響力を持っていました。しかしロッゾ一族は結果としてリムルの陣営と対立したせいで排除されることになってしまいました。

傀儡国ジスターヴは、魔王クレイマンが支配していた国です。かつては魔王カザリームの領地でしたが、カザリームが魔王レオンに敗北した後、クレイマンがこの領地を引き継ぎました。ジスターヴにはダークエルフなどの魔物が住んでいますが、奴隷が多くを占めていることが特徴となっています。クレイマンがリムルに敗北したことによって、その後はミリムの支配地となりました。

天翼国フルブロジアは、魔王フレイが支配していた国であり、ハーピィが中心の領地となっています。貴重な貴金属が取れる地域として知られています。ワルプルギスでフレイが魔王を辞退しミリムの配下に加わったため、それ以降はミリムの支配地となりました。

忘れられた竜の都は、魔王ミリムが治める地です。ただしミリム自身が統治に興味がなく、国としての機能を果たしておらず、住民たちによる自治的共同体というかたちにほぼなっています。住民はミリムを崇拝する龍人族から成り、個々人が高い戦闘力を有しています。クレイマン陣営とリムル陣営の戦争以降、テンペストとの交流が生まれるようになりました。

氷土の大陸は、魔王ギィ・クリムゾンが支配する地であり、ギィの居城として白氷宮が建立されています。この地は永久凍土の氷原地帯であり、通常の生物は生存が困難となっています。そのため魔王ギィとその配下、および彼らに匹敵する強者しか足を踏み入れることができない地域であり、国民もおらず、広大な土地に反して人口分布に関しては世界でも下位に位置しています。ちなみに暴風竜ヴェルドラはここに苦手な姉のヴェルザードがいるため、近づこうとしません。

黄金郷エルドラドは、魔王レオン・クロムウェルが支配する地です。テンペスト連邦国などが存在する大陸とは海を隔てた別の大陸にあります。その面積は、地球でいうところのオーストラリアよりも大きいです。中心部には噴火が頻繁な火山があり、豊富な鉱脈を活かして発展しています。

不毛の大地は、魔王の一角であるダグリュールの領地です。他国との交流が少なく、謎に包まれた地域となっています。

『転スラ』世界における国や勢力に関して、その人口分布に関するランキングを紹介します。世界地図と関連付けると、領地面積と人口の分布は必ずしも対応していません。特に魔王が支配する地域を比較すると、人口分布がかなり偏っています。

『転スラ』人口分布ランキング第3位は、魔導王朝サリオンです。サリオンの人口は1億2000万人であり、その内訳は国民が1億人、自由民が2000万人となっています。他国と比べても決して国土が広いわけではないにもかかわらず、このような人口分布となっているのは、サリオンという国の歴史の長さと安定性を物語っています。

『転スラ』人口分布ランキング第2位は獣王国ユーラザニアであり、その人口は3億人です。その内上級国民が300万人で、それ以外が弱い種族や人間、亜人などから構成されています。サリオンと同様に広い国土ではないにも関わらず、人口分布では上位となりました。ちなみにユーラザニアはミリムによって国土が大打撃を受け、さらにその後魔王クレイマンの勢力が侵攻してきたために、その人口の多くは一時テンペスト連邦国に避難していました。

人口分布ランキング第1位は東の帝国、正式名称ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国です。その人口は8億数千万人であり、その内自由民が数千万人となっています。帝国は大陸東側の一大勢力であり、長年をかけて多くの国を武力によって吸収してきたために、このように他国を大きく引き離すほどの人口分布の偏りが見られるわけです。

リムルが治めるジュラ・テンペスト連邦国は、ジュラの大森林を開拓して発展した国です。『転スラ』世界における世界地図ではほぼ中央に位置しています。ここでは『転スラ』メインの舞台とも言えるこのジュラ・テンペスト連邦国の首都や各地区について解説していきます。

ジュラ・テンペスト連邦国の首都が、中央都市リムルです。この名称は支配者であるリムルに由来しています。ただ、リムル本人は自分の名前が使われることに抵抗があったものの、主要な配下が満場一致で賛成したため、なし崩し的に決まりました。中央都市リムルは、水道などのインフラも充実し、区画整理もなされており、綺麗な景観を誇っています。都市全体が結界に守られ、居住している魔物たちの多くが強く治安も良いため、城壁などがないオープンな都市です。

中央都市リムルは大きく四つの区画に分割されており、そのひとつの北東区画が居住地区になっています。家族向けの居住地がメインであり、他には学校施設なども存在しています。また、シュナの織物施設や商店などの一部もこの地区にあります。

中央都市リムルの北西区画には迎賓地区があります。国賓や他勢力からの使者をもてなすために、洋風の宿泊施設や、温泉も備わっている和風の旅館などがあります。特に旅館の利用率と評判が高く、リムルと同郷の転移者であるヒナタが怒りも交えつつうらやむほどの完成度を誇っています。この迎賓地区は、他勢力との交流が増えるにつれ、作中でも登場する頻度が多くなりました。

中央都市リムルの南西区画は商工業地区になっています。建造物は主に西洋風のものが多くを占めています。特に工房が多く、カイジンやクロベエたちの工房もこの地区にあります。職人たちやその家族が暮らす住居もこの地区にあり、また、観光客や冒険者たちに向けた武器屋や食堂、商店なども存在しています。

中央都市の南東区画は観光娯楽地区です。他の区画ほどには充実してはいませんが、娯楽を重視するリムルにとっては将来的に発展が計画されている地域です。目玉としては円形闘技場が設置されていて、しかもその地下にはラミリスが作り出した地下迷宮が存在しています。リムルが魔王になってから大きく発展するようになった地域です。

テンペストの中央都市の北側にある道から向かえる封印の洞窟は、かつてヴェルドラが封印されていた場所であり、つまりリムルが最初に転生した地でもあります。ヴェルドラの影響で魔素が濃いため、回復薬の原材料を栽培するために利用され、さらに研究施設なども作られることになりました。また、修行の地としても利用されています。中央都市とこの封印の洞窟は、転移の魔方陣を通じて移動することが可能です。

ジュラの森中心部にあるシス湖とその周辺の湿地帯付近には、無数の鍾乳洞が点在しており、その内部最奥には蜥蜴人族の集落があります。この鍾乳洞は天然の迷路のような形状になっており、防衛の際に利用されています。

ジュラの森にはトレントたちが暮らす集落が存在しています。その地には貴重な花が咲き誇っており、リムルは配下の蟲型の魔物であるアピトやゼギオンたちに、蜂蜜の採集や警護を命じていました。後に樹妖精（ドライアド）トレイニーたちがラミリスの配下となったことで、トレントたちは居住地を地下迷宮95階層に移すことになりました。

テンペスト連邦国が他国と交流する際に大いに活躍しているのが、整備された街道です。一定の地点ごとに、魔物除けの結界や交番、宿屋が備わっており、移動の安全性が保障されています。この快適で安全な交通網の整備が、テンペスト連邦国の国交では大きな武器として利用されているのです。

テンペストには、魔王ラミリスの能力によって作り出された地下迷宮が存在します。当初はラミリスに住処と仕事を与えることを目的としており、他にも避難民の臨時居住地としても利用されていました。また、ヴェルドラの膨大な魔素を処理するための場でもありました。しかし次第に迷宮に戦力が集まるようになると、ラスボスとして配置されたヴェルドラを中心に、テンペスト最大の戦力として活用されることになり、東の帝国との戦いでも大活躍しました。

『転スラ』の世界地図に描かれた魔大陸のかたちは、日本地図に似ていることが指摘されています。当然面積には大きな違いがありますが、少なくとも形のうえでは設定として日本地図が参考にされていただろうことが窺えます。

転スラの地図は他の異世界漫画に比べコンパクトだと感じているファンもいます。壮大な世界観ではないものの、設定がシンプルな分、ストーリーがわかりやすくまとまっていると肯定的な意見が見られました。

『転スラ』の世界地図に関しては、謎が多く残っているということもよく指摘されています。重要な勢力の位置関係こそ把握できるものの、この地図に描かれていることの外部に関する疑問が残るのです。そもそもこの『転スラ』の世界は球体なのか、そうでなければこの地図に載っている以外にも大陸があるのかなど、この世界地図にはまだ、『転生したらスライムだった件』に関して考察する余地があるようです。

『転スラ』世界の世界地図を見ると、多くの国が存在することがわかります。『転生したらスライムだった件』は、主人公のリムルと彼の国であるテンペスト連邦国が、次々に各勢力と友好関係を持ったり、敵対したりすることで物語が進みます。その勢力の中には魔王の領地でありながら国民が存在しない地もあれば、魔王がおらずとも大陸屈指の人口分布と武力を有する国もあるなど様々です。『転生したらスライムだった件』という物語の魅力が世界地図には視覚的に凝縮されているのです。