【ゴールデンカムイ】ウイルクはアシㇼパの父！死亡した理由も調査！

『ゴールデンカムイ』に登場するウイルクは、樺太出身のアイヌで、アシㇼパの父親です。アシㇼパと同じきれいな青い瞳を持ち、顔の左側に大きな傷があります。ウイルクの正体や目的について詳しく解説する前に、まずはウイルクのプロフィールと『ゴールデンカムイ』の概要、あらすじを見ていきましょう。

ウイルクは『ゴールデンカムイ』に登場する樺太アイヌの男性でアシㇼパの父親です。ポーランド人の父と樺太アイヌの母から生まれたハーフの為、透き通った青い瞳を持っています。物語の序盤では、アイヌの金塊を移送している最中に、のっぺら坊と呼ばれる男に殺害された為、死亡したことになっています。妻はアシㇼパが生まれてすぐに死亡した為、アイヌの生き方や狩りの仕方を教えながらアシㇼパを大切に育てていました。

ウイルクが登場する『ゴールデンカムイ』は、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていたサバイバルバトル漫画です。2014年から2022年まで連載され、コミックスは全31巻発行されています。2017年にはテレビアニメ化もされて、迫力のある描写と人気声優による迫真の演技が話題になっています。『マンガ大賞2016』では、1位受賞を受賞する程の人気作品です。

アイヌが所有していた大量の金塊がのっぺら坊と呼ばれる男に強奪され、北海道のどこかに隠されていることを知った主人公の・杉元佐一（すぎもと さいち）。杉元は幼馴染みの難病を治す為の治療費を得る為に、その金塊を探すことにします。しかし、金塊の在処を記した刺青を持つ囚人24人は、網走監獄から脱獄して北海道中に散っていました。杉元は、偶然山で出会ったアシㇼパや刺青を持つ脱獄囚の1人・白石由竹（しらいし よしたけ）と共に刺青の脱獄囚を探す旅に出ます。

青くきれいな瞳を持ち、顔に大きな十字傷があるウイルクは、母親や兄弟のいないアシㇼパにとってかけがえのない存在です。物語の序盤では、既に死亡したキャラとされていますが、実際には存命で、『ゴールデンカムイ』の物語の中心人物となっています。ここからは、ウイルクの正体や目的、そして人物像について詳しく解説していきます。

ウイルクはアシㇼパの実の父親で、作中ではアシㇼパからアイヌの言葉で「お父さん」という意味の「アチャ」と呼ばれています。アイヌの女性は、織物をはじめとする家事を仕事としますが、ウイルクはアシㇼパに男性の仕事である狩りや山での生き方を教え育てました。その為、アシㇼパは年頃の女性ですが刺繍などはできず、男性に交じって狩りを行う勇敢な少女へと成長しました。

アイヌの金塊を強奪し、移送していた7人のアイヌを殺害した凶悪犯とされるのっぺら坊。顔の皮膚が全て剥がされている為、「のっぺら坊」と呼ばれていますが、その正体はなんとウイルク本人です。ウイルクがのっぺら坊に殺害されたと思われていたのは、ウイルク本人が周囲に死亡したと思わせる為に行った偽装の為でした。

手先が器用だったウイルクは、網走監獄に収監されている囚人達の中から24人を選び、金塊の在処を記した刺青を掘り脱獄させます。それは全て、金塊の在処をアシㇼパに伝え、アイヌの未来をアシㇼパに託す為でした。

ウイルクの正体がのっぺら坊だと紹介しましたが、金塊を隠した理由はなんだったのでしょうか。ウイルクの本当の正体は、南樺太出身のアイヌであり、かつて帝政ロシアに反発したパルチザン一派の1人でした。ロシアでは、皇帝アレクサンドル2世を殺害した犯罪者として指名手配されていた為、ウイルクは北海道へと逃げてきます。ウイルクが死亡の偽造をしてまで金塊を得ようとした目的は、樺太や北海道に住む少数民族を独立させる為の軍資金にしようとしていた為でした。

しかし、網走監獄に収監されたことで、自分では金塊を手にして目的を達成させることはできないと悟ったウイルクは、娘のアシㇼパに未来を託します。囚人達を集め、アシㇼパにしか解けない暗号を刺青として体に刻み逃がすことで、アシㇼパに金塊の在処を教えようとしたのでした。アシㇼパを女性でありながら勇敢なアイヌの戦士として育てた理由は、アイヌ達少数民族の独立を達成させる目的があったからです。

アシㇼパにとっては、厳しいながらも愛情深い優しい父親です。話し方も穏やかで、娘のことを大事に思っていましたが、それは全てアシㇼパが誕生したことで生まれた性格でした。しかし、故郷である南樺太では、子供の頃から帝政ロシアの圧政に苦しめられていた為、パルチザンに入って皇帝殺害を実行する攻撃的な一面もあります。さらに、狼の無駄を排除した合理的な生き方に憧れて、常に冷静に状況を判断して不要なものはすぐに切り捨てる冷徹さも併せ持っています。

樺太アイヌの男として、狩りやサバイバルの技術を持ち、身体能力も高いウイルク。しかし、ウイルクの能力で最も卓越しているのは、知能です。その場の状況からすぐに最善の方法を見つけることができる程頭の回転が良く、他人を利用しながら目的を達成させようとします。また、自分が生き抜く為に必要な知識や技術は、すぐに吸収する柔軟性も持っています。手先も器用だった為、金塊の在処を示す刺青を囚人達に刻むということもやっています。

ウイルクというのは、ポーランド語で「狼」を意味する言葉です。これは、ポーランド人であったウイルクの父親が、命名したものでした。狼のような合理的な生き方に憧れたことが、命名した理由となっています。

その後、北海道に渡ってアシㇼパの母親であるリラッテと出会うと、名前の由来を聞いたリラッテから「狼を追う者」を意味する「ホロケウオシコニ」という名前をもらいます。そして、リラッテに付けてもらったこのアイヌ名こそが、金塊の在処を紐解く暗号の鍵となっているのです。この名前は、ウイルク本人と命名したリラッテ、そしてアシㇼパだけが知る秘密となっています。

ウイルクは、人によって印象が非常に異なる人物です。ウイルクにとって、真の目的とは一体なんだったのでしょうか。ここからは、『ゴールデンカムイ』で活躍する主要キャラ達との関係や過去の活動について紹介します。死亡した経緯についても解説していきます。

『ゴールデンカムイ』の時代背景は、日露戦争が終結したばかりとなっています。ウイルクは、アシㇼパが生まれる以前は南樺太に住み、同郷のキロランケと共に複数の少数民族による国家独立を目指す革命家として帝政ロシアと対立していました。そして、その時に出会ったのが、ロシアで農民相手に啓発活動を行っていた貴族出身の女性・ソフィアです。ウイルク、キロランケ、ソフィアの3人は意気投合し、共に当時のロシア皇帝を殺害する計画を企てて実行します。

ロシア皇帝の殺害後、ロシアから指名手配されることになり、3人は共に逃亡生活を送ることになります。互いに助け合う中で、ソフィアはウイルクのことを異性として意識するようになりますが、それと同時に、キロランケもまたソフィアに好意を寄せていました。ウイルクはキロランケと北海道に渡りますが、その後ウイルクが北海道アイヌの独立だけを目的にしてしまった為、キロランケと袂を分かつことになります。

『ゴールデンカムイ』でアイヌの女占い師として登場するインカラマッ。ウイルクと出会った時は、まだインカラマッは幼い少女でした。樺太からやって来たウイルクを気に入ったインカラマッは、北海道アイヌの文化や自然を教え、気さくに話せる友人となります。

インカラマッは、ウイルクに好意を寄せていましたが、ウイルクがリラッテと結婚することが判ると潔く身を引きます。その時、ウイルクは大切な友人であるインカラマッに自分の母親の形見である赤い着物を手渡しました。インカラマッが作中で着ている着物は、その時ウイルクからもらった着物です。

『ゴールデンカムイ』で圧倒的存在感を放つ「第七師団」の鶴見中尉。樺太アイヌの革命家と日本陸軍の中尉に接点はないように見えますが、実はロシア皇帝殺害後の逃亡生活の中で2人は出会っています。当時、鶴見中尉は、日本軍のスパイとして「長谷川幸一（はせがわ こういち）」という名前で、ロシア国内の情報収集を行っていました。現地に住むロシア人の女性と結婚し、幼い娘を持つ写真家として生活していた鶴見中尉の下に、ウイルクとキロランケ、そしてソフィアが訪れます。

ウイルク達の目的は、日本語を学ぶ為でした。逃亡生活の中で、北海道アイヌが巨大な金塊を持っていることを知ったウイルク達は、北海道に渡る為に日本語を覚えようとしていたのです。しかし、ウイルク達が指名手配されていることを鶴見中尉が知り、自身の身も危ないと悟ると3人と関係を断とうとします。そんな中、ロシアの警察による襲撃に遭い、妻と娘は射殺されてしまい、ウイルク達は鶴見中尉の恨みを買うことになりました。

ロシアでの一件以来、鶴見中尉とは会っていなかったウイルクですが、それから17年後に思わぬ形で鶴見中尉の復讐を受けることになります。ウイルクが北海道アイヌとなって金塊を手に入れているという情報を掴んだ鶴見中尉は、部下を通じて金塊を移送するアイヌの1人に、ウイルクの正体がロシア皇帝を殺害したパルチザンの1人だと伝えました。その結果、金塊移送中に仲間割れが発生してウイルク以外が死亡するという事態になります。

鶴見中尉が自分を追っていることに気付いたウイルクは、自分で顔の皮膚を剥ぎ、死体を偽造します。しかし、鶴見中尉はその偽造すら見抜いてしまいます。なおも追いかけてくる鶴見中尉から逃れる為、ウイルクは自ら網走監獄に収監されるように出頭しました。そして、金塊の在処を知る凶悪犯・のっぺら坊となったのでした。

キロランケから網走監獄にいるのっぺら坊がアシㇼパの父親だと聞かされた杉元達は、真相を確かめる為に網走監獄へ向かいます。網走監獄で、変わり果てた姿となったウイルクを見て、アシㇼパは父親だと確信しました。ウイルクもまた、アシㇼパのマキリ（小刀）を持つ杉元と出会ったことでアシㇼパがこの場にいることを悟ります。

ウイルクが、一緒に金塊を運んだアイヌ達を殺したのは自分ではないという真実を杉元に伝えようとした時、頭を撃ち抜かれて死亡しました。撃ったのは、第七師団の尾形上等兵です。しかし、その尾形上等兵に合図を送り殺害させたのは、かつての仲間であったキロランケでした。

『ゴールデンカムイ』に登場するウイルクは、父親としての顔と革命家としての顔の二面性を持つキャラです。物語の軸となる金塊を隠した張本人として、大事な場面でよく登場します。ここからは、『ゴールデンカムイ』のアニメ版でウイルクの声を演じた声優について紹介していきます。

『ゴールデンカムイ』のアニメ版で、ウイルクの声を演じた声優は、東地宏樹さんです。ウイルクは、『ゴールデンカムイ』に登場するキャラの中でも、常に冷静で落ち着いた口調が特徴的なキャラとされています。そんなウイルクの声を担当した東地宏樹さんは、渋めで紳士的な雰囲気の声で人気の声優です。『ゴールデンカムイ』でも、低めの声で冷静な演技をしていました。

アニメ声優としてよりも、洋画などの吹き替え声優としての経験が多い東地宏樹さん。家族は全員書道に関係する職に就いているそうで、東地宏樹さん自身も書道八段の腕前だそうです。演技には元々興味を持っていませんでしたが、大学生活を楽しみたい一心で入試が楽そうな日本大学芸術学部演劇学科演劇コースに入学した経歴を持っています。その後、演技の魅力にはまり、友人達と劇団を立ち上げるなどして舞台俳優となり、声優活動も始めました。

東地宏樹さんは、低くて落ち着いた声が特徴的です。その為、芯が強くてたくましい大人の男性役や優しさと厳しさを併せ持つ紳士的な役を多く演じています。『ゴールデンカムイ』でも演じていますが、父親や冷静な悪役といったキャラも得意としているようです。

アシㇼパの父親を含めたアイヌ民族を何人も殺害して金塊を強奪した極悪人と思われていたのっぺら坊。しかし、その正体が、死亡したとされていたアシㇼパの父親ウイルクであることが判明します。これには、杉元やアシㇼパだけでなく、多くの読者も衝撃を受けたようです。

のっぺら坊の正体を確かめる為、杉元達は網走監獄を目指します。キロランケの言う通り、のっぺら坊がウイルクなのか原作の読者やアニメの視聴者はアシㇼパ同様に緊張して見守っています。アニメでは、第2期の最終回にあたる回だった為、非常に注目度が高まっていました。

『ゴールデンカムイ』の読者にとって、のっぺら坊の正体がウイルクだという事実も衝撃的でしたが、ウイルクやキロランケの過去も非常に衝撃的でした。南樺太を中心とする少数民族の独立を目指して、帝政ロシアと戦うテロリストで、当時のロシア皇帝を爆殺した犯人がウイルクだと知った時のアシㇼパの動揺は、読者にも痛い程伝わっています。

『ゴールデンカムイ』に登場するウイルクの正体は、のっぺら坊であり、複雑な過去を持つアシㇼパの父親です。革命家として生きてきたウイルクでしたが、アシㇼパの誕生で考え方を変えてしまい、かつての仲間キロランケと袂を分かち、死亡することになってしまいました。ウイルクの正体や目的を知った上で、『ゴールデンカムイ』を読んでみると新たな発見があることでしょう。この記事でウイルクのことが気になった人は、是非原作漫画を読み返してみて下さい。