【BLEACH】霊王はどのような存在で正体は？滅却師だった？謎を徹底考察

『BLEACH』の作中で死神たちの頂点とされているが、その正体はわからず謎が多い存在として登場するのが、今回紹介する霊王です。王属特務と言われる通称・零番隊が護衛しています。本編でも「破面(アランカル)篇」から名前が登場していましたが、姿を見ることができたのは「千年血戦篇」になってからでした。謎多き霊王の情報を分析し、その正体をひも解いていきます。

『BLEACH』の霊王とは、王属特務でもある零番隊によって霊王宮で護られ死神の頂点に立つ存在ですが、死神のほとんどがその正体を知りません。霊王の正体は、四肢を切断された状態で水晶の中で存在。言しています。言葉を発することもその体を動かすこともなく、本編ではユーハバッハによって水晶ごと斬殺されてしまいました。そのため、霊王は多くの謎を残したままとなっています。

「週刊少年ジャンプ」にて2001年より連載を開始した少年漫画です。様々なメディアミクスを経て大人気となった『BLEACH（ブリーチ）』でしたが、2016年に惜しまれながらも本誌連載は終了しました。しかし、2021年に「連載開始20周年プロジェクト」として、2022年10月より本編最終章でもある「千年血戦篇」が4部作でアニメ化されることが決定しました。

『BLEACH』では、人よりも異常なほど霊感の強いオレンジ髪の高校生・黒崎一護が、死神である朽木ルキアと出会うことで、死神の力を手に入れます。ルキアから死神の力を譲り受けた一護は「死神代行」として、人の魂を喰らう「虚」を討伐することになりました。様々な死線を潜り抜け、一護は死神が住まう世界「尸魂界」の存続をかけた最終決戦に身を投じるのでした。

霊王は「現世・地獄・尸魂界」といった世界観がまだ形成される本編よりも過去に生まれた、当時の救世主とされています。霊王は、人の魂を喰らう虚を滅却する力をもって、その姿を霊子の砂へと変えるという方法で虚討伐をしていました。この戦い方は本編での「滅却師」の力によく似たものです。また、小説版のユーハバッハは「霊王の代わりは滅却師でないと務まらない」といったことを話していることを考えると、霊王の正体が滅却師に関係していることは明白です。

零番隊に守られていることを考えると、霊王は死神たちにとってとても重大な存在であることがうかがえます。しかし尸魂界の統治は「中央四十六室」であることが本編でも語られています。そのため重要な存在ではあるものの、尸魂界の直接的な統治はしていないものと思われます。

死神の頂点に君臨しながらも謎の多い霊王ですが、その正体は「死神」「滅却師（クインシー）」「完現術者（フルプリンガー）」すべての力を所有してる、全知全能な神のような存在でした。過去、霊王が活躍していた時は、その力を虚から人間を守るために使っていました。

過去、死神の世界において霊王に及ばないながらも力を持っていたのが「五大貴族」と呼ばれる死神たちでした。貴族たちは話し合いを行い、すべてにおいてあいまいだった世界を明確な「生」と「死」に分けることを決定しました。そのために必要だったのが、霊王の強大な力でした。貴族である志波家の祖が霊王の説得に向かいますが「霊王が持つ滅却師の力が自分たち死神を滅亡させるのではないか」と考えた網彌代家の創始者が、霊王の隙をついて水晶に閉じ込めるという暴挙に走ってしまいました。

水晶に霊王を閉じ込めるも「自力で脱出してくるかもしれない」と、その強大な力に恐怖心を募らせた網彌代家の創始者は、霊王の右腕と左腕をもぎ取ってしまいました。その後、長い年月をかけて死神たちは、心臓、両足、臓腑を霊王から切り離し、現在のような四肢のない姿となってしまいました。

死神の貴族によって水晶に閉じ込められた霊王は、四肢や臓腑をもぎ取られてしまいました。そのため、過去のような強大な力は、弱まってしまっていた可能性が非常に高いです。そのため、ユーハバッハに抵抗する力が残っていなかったと思われます。

霊王が虚討伐のために使用していた力は、滅却師の力にとても良く似ていました。また、ユーハバッハは霊王を目の前にしたとき「父」と話しかけました。以上のことを考えると、ユーハバッハは「滅却師という存在を作り上げた」人物で、霊王は「滅却師の力の根源」といった存在であると思われます。

過去、霊王が活躍していた時代の敵は人間の魂を喰らう虚でした。しかし、一部の死神たちの策略によって水晶に閉じ込められ、四肢や臓腑を切り離されてしまった霊王が、もし自分の意志で行動できるようになってしまった場合、霊王の敵意は死神に向けられてしまう可能性は十分に考えられます。

先述したように、霊王は「生死を明確にする世界」の構築のために水晶に閉じ込められ、その世界とは「現世・地獄・尸魂界」の3つの世界を指します。その3つの世界の均衡を保つためには霊王の強大な力が必要でした。そのため、尸魂界が存在できているのは霊王のおかげと言っても過言ではありません。

尸魂界には貴族はいるものの「王」と名の付く人々は「霊王」と「王族特務」と言われる零番隊のみです。零番隊に所属する面々は、並みの死神とは比べ物にならないほどの力を有しています。また、零番隊は霊王が水晶に閉じ込められてから設立されているので、霊王自身は零番隊の存在を知らないと思われます。

霊王の名前が初めて『BLEACH』本編に出てきたのは「破面（アランカル）篇」です。藍染惣右介が霊王のいる霊王宮に行くための「王鍵」を作り出そうとした際に、名前が登場しました。藍染は霊王宮に行き「霊王を殺害する」といっていましたが、その行動の真意は謎のままです。藍染自身が霊王に成り代わり王になろうとしたのか、霊王が水晶に閉じ込められている理由を知り、霊王を救おうとしたのか、『BLEACH』本編で語られることはありませんでした。

滅却師の始祖でもあり「見えざる帝国（ヴァンデンライヒ）」の皇帝・ユーハバッハは、霊王を殺害するため尸魂界に全面戦争を仕掛けました。多くの滅却師の急襲にあい、死神たちだけでなく尸魂界全体が窮地に追いやられます。尸魂界が弱体化すると、ユーハバッハは霊王宮に侵入した後、霊王を殺害し目的を達成させます。霊王がいなくなってしまったために世界の均衡は崩れるかと思われましたが、霊王の右腕を体内に所持していた浮竹十四郎が命と引き換えに霊王の力を開放することで、均衡が崩れることはありませんでした。

成田良悟さんの小説「Can't Fear Your Own World」は、千年血戦後の尸魂界の様子や、霊王の過去が描かれています。その中では、人の生と死があいまいな世界で虚から人間を守る霊王の活躍が描かれました。また、世界の均衡のために霊王が生贄として水晶に閉じ込められた経緯も詳細が語られています。

山本元柳斎重國は、『BLEACH』本編の「千年血戦篇」にてユーハバッハと対峙し、卍解を奪い取られてた末にその体を真っ二つに斬られてしまい、戦死します。死神の総隊長として長く隊を統率してきた山本元柳斎重國が、霊王について何も知らないというのは考えづらいです。また、山本の教え子でもある十三番隊隊長の浮竹十四郎は、霊王の右腕を体に取り込んでいます。『BLEACH』本編にはっきりとした描写はないものの、浮竹の体内に霊王の右腕があることを知っていたのではないかと思われます。

霊王宮を守護する零番隊のリーダー格でもある兵主部一兵衛は、別名「真名呼和尚」ともいう異名を持っています。生死があいまいな世界で活躍しいた霊王のことをよく知る、霊王の親友でもありました。霊王が世界の均衡のために生贄になってからは、霊王に忠誠を誓い零番隊に所属し、一番近くで霊王を護衛することになりました。

浦原喜助は原作コミック48巻にて、霊王の存在を「楔」と表現しました。また「楔」を失えば世界の均衡は崩れる旨を話していることから、霊王という存在が世界にどのような影響をもたらしているのかを、理解しているものと思われます。

小説 「bleach can't fear your own world 」で、藍染と東仙要のが霊王の爪に関する会話をしていました。藍染は崩玉を作るため、流魂街にいる魂魄を奪っていました。幼少期の松本乱菊もその騒動に巻き込まれたことが、市丸ギンの回想で描かれています。藍染は「魂を奪ったにも関わらず死神の素質がある少女の魂魄に、爪が混ざっていた」と言及していました。藍染の言う少女が乱菊であることは予想できますが、なぜ乱菊が霊王の爪を所持していたかまではわかっていません。

霊王の心臓を宿していたのは滅却師のジェラルド・ヴァルキリーであることが、同じく滅却師のナックルヴァールが明かしていますが、噂の域を出ていないことも同時に明かしています。しかし、ユーハバッハから聖文字を与えられる前から「奇跡」という驚異的な能力を持っていたことを考えると、その噂もあながち嘘ではないかもしれません。『BLEACH』本編でもそれ以上の情報は出てきませんでした。

霊王の右腕は「静止」を司り、浮竹十四郎がその体内に宿していることがわかっています。浮竹は流魂街にいた3歳の頃に肺の病気に罹りました。その流魂街では「ミミハギ様」という土着神を祀っていました。その土着神こそ、霊王宮で引きちぎられた末に落下してきた霊王の右腕でした。浮竹の両親が「ミミハギ様」に浮竹の病気の肺を捧げたことにより、その身に霊王を宿すこととなりました。千年血戦篇では、ユーハバッハに斬殺された霊王に代わり、その命をなげうって一時的に世界の均衡を守りました。

霊王の左腕は「前進」を司り、滅却師のペルニダ・パルンカジャスが宿していることをナックルヴァールが明かしました。初登場時には正体を隠すようにフードを深くかぶり、その小さな体と声から通訳が必要なほどでした。しかし、その正体は単眼異形の人間の左腕でした。涅マユリとの戦闘でその異形は、恐ろしいスピードで成長し増殖していったことを考えると、「前進」の能力を使ったのかもしれません。右腕は土着神として流魂街で大人しく祀られていましたが、左腕のみ滅却師として動き回っていることについては、謎のままです。

霊王の鎖結は完現術者の道羽根アウラが宿していました。アウラの母は人間でした。アウラが胎児の頃に母が虚に襲われ、その時の傷が原因で出産してすぐに亡くなりました。成長したアウラに貴族である網彌代家が接触し、霊王の鎖結がアウラに宿っていることを告げると部下に引き入れます。その実力は斬魄刀こそ持っていないものの「鬼道と白打は藍染レベル」と、浦原喜助に評価されていました。

霊王の目に関して、誰に宿っているのか明かされませんでした。しかし、霊王と同じようにユーハバッハは「未来を見通す能力」を持っていました。そのことを踏まえると、霊王の目はユーハバッハに宿ったと考えることが自然かもしれません。

霊王の欠片を所持している者は、完現術者としての力を得ています。共通点として、胎児の頃に母体が虚に襲われているといったものがあります。母親が虚に襲われた時に虚の因子が胎児に影響してしまい、出生後、成長してから完現術者としての力を発揮することになってしまいました。本編では、井上織姫や茶渡泰虎、銀上空吾がそれにあたります。また小説版で登場した産絹彦禰もそれに該当します。

2023年に決別譚としてアニメ「BLEACH（ブリーチ）」が放送されました。その中で、一護が霊王宮で修行している映像に、霊王と思われる映像が差し込まれました。それは、第三者から見た霊王の様子と、霊王自らの視点の映像と様々なものでした。霊王の正体を映すような映像は一瞬でしたが、その過去や真実などが映像化されることが期待できます。

この方は小説を読了されたものと思われます。世界の均衡を保つために、一部の死神たちによって、霊王は生贄のような存在となってしまいました。更には己の恐怖心から霊王の四肢や臓腑を引き離すといった暴挙に出た死神がいたことを考えると、この方の言うように、死神に同情する気持ちは起きなくなってしまいます。

アニメで詳しく霊王のことに触れるようであれば、気になるのはCVを担当される声優かと思います。BLEACH（ブリーチ）はほとんどのキャストが続投となり、新キャラクターに若手や中堅の声優が入るなど、新旧入り混じるキャスト編成となっています。しかし、死神側を担当される声優さんは今やベテラン声優ばかりとなっているため、霊王という死神の頂点にいるキャラクターをどなたが担当するのか、霊王がアニメで描かれるのであれば気になるところです。

『BLEACH』本編の中で霊王は「破面（アランカル）篇」で名前が登場し、「千年血戦篇」で姿を現しましたが、すぐにユーハバッハに斬殺されてしまいました。小説「Can't Fear Your Own World」で霊王に関する謎や過去に関して補完されていましたが、アニメや原作で作品を追っている方々にとってみれば、多くの謎を残す結果となっています。 しかし、2023年の夏に放映されたアニメには、霊王を彷彿とさせるような映像がありました。アニメオリジナルの場面も組み込まれているようでしたので、霊王の過去やその正体についても触れられるかもしれません。