【呪術廻戦】偽夏油の正体とは？これまでの経緯や過去に操られた人も

『呪術廻戦』の登場人物・夏油傑（げとうすぐる）は、本編の前日譚にあたる新宿・京都百鬼夜行で死亡しました。それにもかかわらず、再登場して後に渋谷事変を引き起こします。しかし、渋谷事変を起こす前は呪術師との接触を頑なに拒みます。なぜでしょうか。実は、この夏油傑は偽物でした。いったい正体は誰なのでしょうか。今回は、偽物の夏油、すなわち偽夏油の正体やその目的について考察します。

偽夏油はいつも袈裟を着用しています。偽夏油はファンの間で「メロンパン入れ」と呼ばれることがあります。額の縫い目から上の頭部を持ち上げた絵柄が、あるテレビ番組の「メロンパン入れ」によく似ていたところからこう呼ばれるようになりました。

『呪術廻戦』は、芥見下々によるダークファンタジー漫画作品です。人間の負の感情から生まれる呪力を使って、呪術師と呪詛師がバトルを繰り広げるこの漫画は、2018年に発表されて以来、瞬く間に多くのファンの心を掴み、2022年8月にはコミックス累計発行部数が7,000万部にも達しました。また、アニメも2020年に第1期が放送され、2021年暮れには劇場版、そして2023年にはアニメ第2期も予定されています。

仙台に住む高校生の虎杖悠仁は、ある出来事から特級呪物を口にして「宿儺の器」となります。それが災いして死刑を宣告されますが、刑の執行が猶予され、東京都立呪術専門学校に転校することになりました。そこで、教官の五条悟や先輩、伏黒恵や釘崎野薔薇といった同級生等と様々な任務や行事をこなし、人間としても呪術師としても成長していきます。しかし、最悪の呪詛師がハロウィンの日に渋谷事変を引き起こそうと画策していました。

偽夏油は渋谷事変を起こすまで、呪術師との接触を巧妙に避けていました。そのため、渋谷事変まで誰一人として偽夏油の存在を知っている人はいませんでした。渋谷事変で五条悟が夏油と接触し、偽物であることが分かりましたが、その正体は作中人物にとっても読者にとっても長らく不明でした。しかし、物語が進むにつれてその正体も明らかになってきました。

渋谷事変の最中、偽夏油の正体は加茂憲倫（かものりとし）ではないかと考えられていました。しかし、偽夏油の正体は「羂索（けんじゃく）」と判明します。羂索は今から1,000年以上も前に活動していた呪詛師です。同じ頃、宿儺も活動していたため、過去に何らかの関わりがあったのではないかと考えられています。羂索の性別や年齢、もともとの容姿などは今のところ不明です。

本物の夏油は、本名を夏油傑（げとうすぐる）と言います。呪術高専時代は五条悟の無二の親友とも言うべき存在でしたが、ある事件がきっかけで非術師を「猿」と呼び、非術師のいない世界を模索するようになります。そして、呪術テロである新宿・京都百鬼夜行を引き起こしました。夏油の真の狙いは、乙骨憂太（おっこつゆうた）を倒して特級過呪怨霊の祈本里香（おりもとゆか）を手に入れることでしたが、乙骨・折本との戦いで片腕を失い、逃亡中に五条悟によって処刑されました。

本物の夏油と偽夏油との外見上の違いは、額に縫い目があるかどうかです。もちろん、縫い目のあるほうが偽物ですが、その他に言動にも違いがあります。本物は非術師を「猿」と呼んでいましたが、偽夏油にはそのような言動はありません。また、偽夏油は若い呪術師の死を全く気にしていませんが、その点も本物の夏油と異なります。

羂索は1,000年以上も前から活動しています。そのため、過去にかなりの人数を操っているはずです。羂索が操る人物には額に縫い目があります。過去に羂索が操ってきた人物は、今のところ偽夏油以外に2名判明しています。1名は加茂憲倫（かものりとし）、もう1名は虎杖悠仁の母です。ここでは、その2名について考察します。

加茂憲倫は、羂索が偽夏油の正体と判明するまでは、加茂こそが偽夏油の正体と思われていました。加茂は、明治時代の呪術師で「史上最悪の呪術師」とも「御三家の汚点」とも言われた人物でした。その理由は、過去に特級呪物「呪胎九相図」を作ったからです。これは、呪霊の子供を孕む特異体質の女性を妊娠させて堕胎させることを9回繰り返して得た呪物でした。しかし、呪胎九相図の長男の脹相の記憶にある加茂の額には縫い目があったことから、すでに身体を羂索に乗っ取られていたことが分かります。

虎杖悠仁の母親の額にも縫い目があることから、羂索に身体を乗っ取られていたことが判明しました。悠二の父親である仁（じん）には香織という妻がいました。祖父（仁からすれば父親）によれば、二人は子供を熱望していましたが、その願いが叶う前に香織は死亡しました。しかし、仁は子供を授かっていて、祖父の「死ぬぞ」と言う警告にも仁は耳を貸しません。そこに額に縫い目のある女性が現れます。今のところ、その女性が香織なのか、別の女性なのかは分かっていませんが、悠二の母親であることは確かなようです。

ここまで偽夏油の正体について考察し、過去および現在操っている人物についても紹介しました。羂索はなぜ夏油傑の身体を乗っ取ったのでしょうか。ここからは羂索の目的を見ていきます。また、目的達成のためには五条悟と対決する必要がありましたが、殺害するという方法はとりませんでした。その理由についても触れていきます。

偽夏油の正体が明らかになった後、目的も明らかになりました。羂索の目的は「呪術の最適化」です。これは、呪術を用いて新しい世界を創造することであり、対象を日本全土に人類への強制進化を目的として、人類を天元と同化させることです。もともと星漿体（せいしょうたい）という特殊な体質を持った存在とでしか天元は同化できませんが、今の天元は呪霊に近くなっていて、羂索と接触すると呪術に取り込まれる可能性が高くなっています。そのため、羂索にとってはチャンスであり、目的達成まであと一歩となりました。

羂索にとって、渋谷事変の最大の目的は五条悟の封印です。その理由は五条悟が六眼の持ち主だからです。羂索は過去に2度六眼の持ち主に敗退しています。そのため、殺すのではなく封印することに方針を変えたと思われます。封印という目的を果たすために、羂索は何年も前に獄門疆（ごくもんきょう）という特級呪物を手に入れました。脳内時間で1分間、4m以内に拘束すればどんな対象でも封印することができる呪物で、渋谷事変で初めて偽夏油に出会った五条は混乱し、一瞬で封印されてしまいました。

『呪術廻戦』には、特級呪術師にランクされている呪術師が4人います。その4人とは、五条悟、乙骨憂太（おっこつゆうた）、九十九由基（つくもゆき）それに夏油傑です。夏油は偽夏油になり、五条は封印されているので、残りは乙骨と九十九の2名になります。しかし、この両名をもってしても羂索を倒すのは難しいのではないかと言われています。やはり、羂索を倒せるのは五条しかいません。虎杖等も封印解除に向けて動いているので、羂索打倒の最有力候補は五条になると考えられているようです。

偽夏油の正体は羂索でした。彼は1,000年以上も前から活動していますが、普通の人間なら封印されていない限り、そんなに生きながらえることはできません。それを可能にしているのは彼の術式です。羂索の能力にはどんなものがあるのでしょうか？

羂索がもともと持っていたと考えられるのが「肉体を転じる禁忌の術式」です。この術式で、肉体を乗り換えて1,000年以上も前から現在まで生きながらえています。羂索の本体は「脳」だけですが、乗っ取った相手の生得領域はそのまま使うことができ、記憶も引き継ぐことができます。また、額には縫い目ができますが、この縫い目は縛りとなって術式の効果を上げています。

呪霊操術は、もともと夏油傑の術式です。降伏した呪霊を球形にして取り込み、自由自在に操ることができます。取り込める呪霊の数には上限がなく、新宿・京都百鬼夜行の時は、6,000体以上もの呪霊を操っていました。この術式は、天元と人類を同化させるという羂索の目的達成にとって必要な術式であったため、夏油傑が乗っ取られる原因のひとつとなります。

無為転変は、もともと特級呪霊真人の術式です。この術式は、相手の魂に触れることでその形を変え、肉体を変形・改造するというものです。羂索は、真人を取り込んだ後、夏油傑の術式「うずまき」を使って無為転変を抽出します。このことで、呪霊を呼び出さずに直接無為転変を使用することができるようになりました。そして、非術師を1,000人ほど選び、呪力を使えるようにしたのです。

偽夏油の正体は羂索でした。本物の夏油傑は人気キャラクターの一人なので、偽物となると複雑な感情を抱いているファンも少なからずいるようです。

偽夏油といえども、外見は縫い目以外は夏油傑そのものです。夏油傑はかなりのイケメンなので、当然偽夏油もイケメンになります。そういうところにファンの心も動かされているようです。

半数近くの夏油傑ファンは偽夏油に抵抗があるようです。このツイートのように、夏油傑は好きだが偽夏油は嫌いという声は多くありました。

偽夏油の正体については、天元によって羂索であると明らかにされるまでSNS上で活発に議論が交わされていました。九十九由基説を支持する声もかなりありましたが、呪胎九相図から加茂憲倫でほとんど決まりというのが大半でした。

今回は『呪術廻戦』でラスボスとも言える偽夏油の正体に迫りました。明らかになった偽夏油の正体は平安時代から活動していた羂索でした。禁忌の術式で過去から現代まで生き続け、「呪術の最適化」という自らの目的達成のために動いています。偽夏油の前に立ちはだかるのは五条悟でしょうか。これからも目を離すことができません。