【鋼の錬金術師】フラスコの中の小人とお父様の関係は？目的や最後も考察

鋼の錬金術師にてフラスコの中の小人が登場すると、お父様やホムンクルスとの関係性が明かされストーリーにおいて重要な鍵を握る存在として描かれていきました。ここではフラスコの中の小人の概要をまとめ、鋼の錬金術師の作品概要とあらすじについておさらいしていきます。なお、本記事では鋼の錬金術師の結末に関するネタバレが含まれているため、閲覧する際はご注意ください。

フラスコの中の小人とはホムンクルスの別称で、フラスコの中に納まるほど小さい存在であることからそう呼ばれています。ホーエンハイムの血と情報を元に誕生したホムンクルスであり、鋼の錬金術師作中に登場するお父様が生まれたばかりの姿、もしくは第一形態とも言える存在でもあります。

ハガレンこと鋼の錬金術師は荒川弘によって月刊少年ガンガンに連載されていた漫画作品です。錬金術師が失った肉体を取り戻すために旅をするダークファンタジーが描かれており、スチームパンクな世界観や死生観に関する奥深いストーリーが人気を博しました。2021年7月時点で累計発行部数8000万分を突破しており、アニメ化や実写映画化といったメディアミックスも多く展開されています。

錬金術師であるエドワードとその弟のアルフォンスは、流行り病で亡くなってしまった母親を生き返らせるために人体錬成を行いました。しかし、錬成は失敗しエドワードは左脚を失い、アルフォンスは全身を失ってしまいました。エドワードは右手を犠牲にしてアルフォンスの全身を鎧に錬金することで命を繋ぎ、全身を取り戻すための素材となる賢者の石を探すための旅に出ることを決意するのでした。

フラスコの中の小人は鋼の錬金術師のストーリーに深く関わってくる存在であり、作中のラスボスであるお父様と密接な関係を持っています。また、フラスコの中の小人はホムンクルスとされていますが、作中に登場している他のホムンクルスとは異なる点が多く、彼こそ特別なホムンクルスと言い換えることができます。ここではハガレンこと鋼の錬金術師におけるフラスコの中の小人とお父様の関係についてまとめていきます。

フラスコの中の小人はお父様が誕生したばかりの姿です。ホーエンハイムによって生み出された後、アメストリスの建国において小人自身がホムンクルスを錬金したことにより彼らからお父様と呼ばれるようになりました。また、フラスコの中の小人は世界最古のホムンクルスとされており、彼が創造したホムンクルスにはそれぞれ聖書に記されている七つの大罪の名が与えられています。

鋼の錬金術師の時間軸から500年前の頃、老化や寿命に焦りを抱いていたクセルクセス王は錬金術師たちに不老不死の法を調べさせていました。錬金術師たちの中にホーエンハイムという男性がいると、彼が錬金術を繰り返す内に偶然フラスコの中の小人が誕生しました。フラスコの中にいたためホーエンハイムは彼にホムンクルスという名称を付けました。

フラスコの中の小人は意思を持っており、ホーエンハイムと会話することができました。ある日、フラスコの中の小人が奴隷だったホーエンハイムに「自由と権利が欲しくはないか」と尋ねます。その話に揺さぶられたホーエンハイムはフラスコの中の小人が言う通りに計画を進め、クセルクセス王と国民約100万人の魂を賢者の石に変えて国の全てを手に入れました。ただし、この計画はフラスコの中の小人が自由を手に入れる目的が隠されており、賢者の石によって小人は肉体を手に入れました。

フラスコの中の小人が賢者の石によってフラスコから出られた後、彼はある目的のために行動を起こし世界やエドワードたちにとって大きな脅威となっていきました。彼をお父様と呼ぶホムンクルスたちはその目的のために生まれており、ストーリーの本筋にも大きく関係してくる存在でした。ここではハガレンこと鋼の錬金術師におけるフラスコの中の小人の目的や最後についてまとめていきます。

お父様となったフラスコの中の小人は「神を理解してこの世の全てを知りたかった」と目的を話し、膨大な宇宙の情報量を手に入れてそれを抑え込むエネルギーを補給しようと計画を進めていました。この目的を達成するためにお父様は神を引きずり下ろし、自らが完全な存在になろうとしていました。そのため鋼の錬金術師のストーリーは人柱の出現と国を覆うほどの錬成陣を生み出すまでの物語だったと言い換えられます。

フラスコの中にいた頃は表情豊かで、生みの親であるホーエンハイムに気さくに話しかけるようなコミカルな性格をしていました。しかし、賢者の石によって人型に変化してからは冷徹な一面を露わにし、ホムンクルスを創造する際に感情を切り離してからは無口がちな性格に変貌しました。

お父様の能力は知性や知略、人心掌握術に秀でており、実際にホーエンハイムを意のままに操ってクセルクセス王国を一夜にして壊滅させました。高度な錬金術を有しているため戦闘でも隙が見当たらず、錬金術に必要な地脈エネルギーを阻害することで相手の錬金術を封じるという技も使用できます。また、世界の真理の扉の力を得て完全体になった後は等価交換を無視した錬金術を使用し、天候を自在に変化させたり擬似太陽を生み出したりと無敵の強さを誇ります。

世界の真理の扉に辿り着いたことでお父様は神と一体化し完全体となります。見た目は若かりしエドワード・エルリックに変化し、性格も傲慢で人間を取るに足らない存在と見下すようになりました。実際に手に入れた強さは最強で、等価交換の原則を無視した錬金術により地盤ごと破壊するレーザーや自我を持たない人体の錬成などを作中で披露しました。

完全体になったお父様は別次元の強さを手に入れましたが、エドワードたちを相手にしている内に神の力が制御できなくなり賢者の石を失ってしまいます。その直後、真理の扉に戻されたお父様は真理から「思い上がった者に絶望を与えるのが真理」と告げられ門の中へ引きずり込まれました。そうして最後は生まれた頃と同じようにフラスコの中へ閉じ込められ、不自由な場所へ囚われることになりました。

最後の場面にてお父様は「私はどうすればよかったのだ！」と訴えているシーンが描かれていました。絶対の強さを手に入れてまでお父様が最後に敗北した理由として真理は「お前が己を信じないから」「七つの欲を切り離せば人を超えられると思ったか？」などと語っています。真理としての答えは『人として生きること』だったと受け取れるでしょう。実際にお父様は人を見下し続け自分にない強さばかりを求めていました。自分の強さや他者の存在を認められなかったところが敗因と言えるでしょう。

鋼の錬金術師は当時低迷していた出版社を救うほどの人気を博しており、その勢いのままアニメが公開され大きな話題を呼びました。アニメ版では原作に描かれていたキャラクターが映像化されること以外に、声優の演技が加わるところが醍醐味と言えるでしょう。ここではアニメ版ハガレンこと鋼の錬金術師にてフラスコの中の小人及びお父様を担当した声優についてまとめていきます。

お父様を演じた声優は家弓家正（かゆみいえまさ）さんです。81プロデュースに所属していた男性声優で、1956年にNHKのラジオドラマにてデビューを果たしました。低くて渋いバスバリトンの声質が特徴的で、業界内からは渋いのに優しさが秘められていると評されていました。アニメ作品以外に洋画の吹き替えで多くの作品に出演していましたが、2014年9月30日に亡くなったことが発表されました。

鋼の錬金術師作中にはお父様以外に複数のホムンクルスが登場していますが、彼らは全員お父様によって生み出された存在でした。ホムンクルスの彼らにはそれぞれ七つの大罪に関係する名が与えられており、その名にまつわる能力や強さ、性格を有しています。ここではハガレンこと鋼の錬金術師におけるフラスコの中の小人が作ったホムンクルスたちについてそれぞれまとめていきます。

ラストは色欲の名を冠するホムンクルスです。唯一女性の身体を持つホムンクルスでもあり、巨乳である胸元にウロボロスの刻印が刻まれています。基本的に人間を見下していますが誇り高い性格でもあり、ホムンクルスの中では司令塔として仲間をまとめています。戦闘時には伸縮硬軟が自在にできる爪を利用して戦い、あらゆる物体を切断できる攻撃力は『最強の矛』と称されるほどの強さを秘めています。最後はマスタングとの戦いで彼の奇策に敗れ、運命を憐れむような言葉を遺して消滅しました。

グラトニーは食欲及び暴食の名を冠するホムンクルスです。禿げた頭にずんぐりとした胴体が特徴的で、舌にウロボロスの刻印があります。大柄な体型と壁ですら噛み砕ける凶悪な強さを持っていますが、その反面知性が欠けており言動も幼児のように拙いです。鋼の錬金術師作中ではラストやエンヴィーらと行動を共にすることが多く主に戦闘員として活躍していましたが、最後は同じホムンクルスであるプライドに吸収されて消滅しました。

エンヴィーは嫉妬の名を冠するホムンクルスです。中性的な容姿と饒舌な人柄が特徴的で、飄々とした立ち振る舞いの裏にはどこまでも人間を見下す醜い本性が隠れていますが、一方で自分が見下されると冷静さを見失うほど怒り狂ってしまう一面もあります。変身能力を持っておりエンヴィーが情報を持っていれば人間以外の動物に変身することもできます。なお、人間を嫌う行動の裏に人間への羨みや嫉妬が隠されていると、エドワードに理解されそうになったことに苛立ち最後は自害しました。

グリードは強欲の名を冠するホムンクルスです。チンピラのような言動と己の欲望に忠実な性格をしており、お父様の命令にも従わず各地を転々としていました。欲深く他人を見下す傲慢さがありますが、一方で求める者は自力で手に入れようとしたり嘘をつかないという義理堅い人柄をしています。持っている能力は皮膚を硬化させるもので、その高度はダイヤモンド並みとされ『最強の盾』とも称されています。なお、最後はエドワードたちと協力してお父様と戦いリンを庇うようにして消滅しました。

プライドは傲慢の名を冠するホムンクルスです。普段はセリム・ブラッドレイという名前を名乗りブラッドレイ夫婦の間に生まれた子どもとして生活しています。自身が1番初めに造られたホムンクルスであることに誇りを感じており、人間のみならずお父様以外のホムンクルスを見下しています。従えている影は彼の能力によって自在に操ることができ、強靭な攻撃と頑強な防御を兼ね備えています。なお、プライドは記憶を失ったもののホムンクルスの中で唯一生き残った存在です。

ラースは憤怒の名を冠するホムンクルスです。普段はアメストリス国軍の最高指導者であるキング・ブラッドレイとして振る舞っており、ホムンクルスの中で唯一老化するという特徴を持っています。『最強の眼』と称される能力を持っており、戦闘時は弾道を見切れるほどの瞬発力と長年培った戦闘術を駆使して戦います。その強さは単独で軍の本拠地で暴れ回れるほど強力です。最後は人生に満足したという遺言を残しランファンに討ち取られます。

スロウスは怠惰の名を冠するホムンクルスです。人間の倍以上の背丈を持つ巨漢であり、「めんどくせぇ」が口癖であるように面倒臭がりな性格をしています。ただし、国家錬成陣を作るために地下でトンネルを掘る作業を任され、面倒臭がりながらもその任務を全うし続ける勤勉さがあります。また、巨大な体躯に見合わずホムンクルス最速のスピード能力を有しており、超高速の突進は凄まじい破壊力を持ちます。なお、最後はアームストロング少将の軍勢との戦いに敗れ消滅しました。

これまで鋼の錬金術師に描かれたフラスコの中の小人とお父様の関係や目的などについてまとめてきましたが、ハガレンファンの間でフラスコの中の小人はどのように思われているのでしょうか。ここでは世間での評判・人気を探るためにSNS上に投稿されているコメントを実際に参照し、内容をまとめていきます。

フラスコの中の小人に関するコメントを調べてみると、ホーエンハイムとの関係性やクセルクセス回想エピソードが感動的で好きという意見が多く寄せられていました。初めはフラスコの中の小人も気さくに話しかける陽気な存在であり、ホーエンハイムが奴隷だった背景を意識してついそのエピソードにグッと来たハガレンファンが多かったようです。

エピソードや関係性の評価以外には考察系のコメントが寄せられていました。考察されている議題は主にフラスコの中の小人とホムンクルスたちの関係が多く、ホムンクルスたちの言動には当時のお父様の記憶や感情が元になっているのではないかと考えられています。

中にはフラスコの中の小人という名前を気に入っているハガレンファンもいました。一般的にホムンクルスとは錬金術によって生まれた人造人間のことを示しており、錬金術に用いられるフラスコと小人を組み合わせたネーミングにはセンスを感じられます。

鋼の錬金術師に登場するフラスコの中の小人はお父様と同一人物で、生まれたきっかけはホーエンハイムの錬金術でした。国を一夜にして滅亡させたり、目的のために行動し圧倒的な強さを手に入れたシーンなどに興奮や感動を感じたハガレンファンは多くいたことでしょう。フラスコの中の小人について知らなかったという人は、ぜひ鋼の錬金術師本編にてその存在や活躍をチェックしてみてください。