【ハガレン】新旧のアニメの違いを詳しく解説！原作との相違点もある？

ハガレンの略称で親しまれている鋼の錬金術師は月刊少年ガンガンから刊行された漫画作品であり、絶大の人気を博したことから様々なメディアミックスを展開しています。アニメ化に関しては2003年と2009年に分けて2度展開されており、それぞれキャラクターの設定やストーリーの結末などが異なっています。違いを見ていく前に、まずは鋼の錬金術師の作者や作品概要、あらすじなどをまとめていきます。

鋼の錬金術師を連載していた作者は荒川弘（あらかわひろむ）先生です。1973年から北海道で生まれ育ち、高校卒業後に実家の農家を手伝いながら漫画を描き始めたとされています。デビューを果たしたのは1999年であり、その後衛藤ヒロユキのアシスタントを経て独立し、2001年に鋼の錬金術師の連載をスタートさせました。

鋼の錬金術師は荒川弘によって月刊少年ガンガンに連載されていた漫画作品です。錬金術と死生観をテーマにしたダークファンタジーな物語が描かれており、スチームパンクな世界観や魅力的なキャラクターなどが人気を博しました。2019年時点で累計発行部数8000万部を突破しており、アニメ化や実写映画化など様々なメディアミックスが展開されています。

錬金術師の青年・エドワードとその弟のアルフォンスは亡くなった母親を生き返らせるために禁忌の錬金術・人体錬成を侵しますが、結果は失敗に終わり肉体の一部を失ってしまいます。義手や義足、全身を鎧にすることで2人は無事一命を取り留めた後、賢者の石を利用すれば肉体を取り戻せることを知ります。2人は賢者の石を見つけるために旅することを決め、アメストリス国の裏で起こっている陰謀に巻き込まれていきます。

ハガレンのアニメ版は2003年に公開された『鋼の錬金術師（通称旧アニメ版）』と2009年に公開された『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST（新版/FA版）』の2つが存在しています。2つの作品は1期と2期でストーリーが繋がっているわけではなく、それぞれ設定や最終回の結末などが異なる別作品となっています。ここではハガレンにおける新旧アニメの違いを具体的に解説していきます。

2つのアニメはストーリーが違います。原作準拠に描かれている作品が新アニメ版であり、旧アニメ版では同じキャラクターが登場していますがキャラの設定やストーリー、最終回までの経緯などが原作と別物になっています。これは旧アニメ版が放送されていた当時、アニメの内容が漫画に追いついてしまうためオリジナルストーリーを展開したとされています。また、公開された話数も異なっており、旧版は全51話、新版では全64話となっています。

2つの作品にてキャラクターの声を担当している声優が違います。主要キャラクターであるエドワードとアルフォンスは続投となっていますが、その他のキャラクターは全て変更されています。声優が変わったことによってキャラクターの印象も大きく異なっており、例としてマスタングは旧版では渋く大人びた雰囲気だったのに対し、新版では荒々しい人柄が目立っています。

旧版ではストーリーが大きく異なっていると説明しましたが、意外にも最終回の結末は似ています。オリジナルストーリーで展開されている分最終回に辿り着くまでの流れは異なっていますが、どちらも主人公が最後に取った選択や迎えた結末が同じです。なお、それまでのストーリーやキャラ設定に違いがあるため、同じ結末だったとしても主人公たちの行動した理由や意味、結末の後の展開が同じというわけではありません。

旧アニメ版は原作漫画の内容に追いついてしまうという理由からオリジナルストーリーが展開されました。それに伴ってキャラクターや錬金術の設定などが原作と違うものになっており、原作のパラレルワールドのような世界観が生み出されていきました。ハガレンのことをより詳しく知っておくためにも、原作と旧アニメ版の違いは抑えておくべきでしょう。ここではハガレンにおけるアニメと原作の違いについてまとめていきます。

原則としてハガレンの原作とアニメ版の違いがあるのは2003年公開の旧アニメ版のみです。新版では原作と同じキャラ設定とストーリーが展開されており、最終回の結末も同じです。そして、旧版ではキャラクターの設定やストーリー内容が原作と異なっていますが、特に大きく変更されている部分は『ホムンクルスの設定』と『錬金術の設定』です。具体的に2つの相違点について解説していきます。

原作ではホムンクルスは体内に有している賢者の石によって肉体を維持していますが、旧版では人体錬成の失敗作として描かれています。そのため、原作のホムンクルスたちは自分たちが人間よりも優れた生物と自覚し傲慢な性格をしていましたが、旧版では人間に憧れを向けた存在となり、人間として接してくれないことに対して恨みを抱いて復讐をしようとしていました。個体ごとの相違点は以下になります。

原作における錬金術は現実世界におけるそれと意を異にし、原子配列そのものを組み替えることで物体の形を変えたり化学反応を起こすという設定になっています。一方の旧版では術者本人の精神力と説明され、終盤にて異世界で死亡した人間の魂をエネルギーにして現実世界に物体や化学反応を生み出すという設定が明らかにされます。また、原作ではエネルギーの説明を地下に広がるマグマの地殻エネルギーから来ているとされています。

2009年公開の新版では原作との違いがほとんどなく、原作の内容を忠実に再現しています。ギャグ要素を多く取り入れてシリアス展開を削減している特徴があり、変更点があったとしても長いセリフや分かりづらい説明に改良が加えられている程度のものです。また、原作にて主人公たちが登場しないエピソードがありましたが、新版では視聴者に対する配慮としてなるべくそのエピソードの完結を早め、主人公たちを登場させるようにしています。

メディアミックスが複数展開されている作品に対して、どの順番で見ていけばいいのか分からなくなってしまうという悩みは珍しいことではありません。実際にハガレンはアニメだけでなく劇場映画とOVAも公開されているため、順番が分からず見るのを控えてしまっている人がいることでしょう。ここではハガレンにおける劇場版とOVAの作品内容を紹介していき、その後ハガレンをより楽しく見られる順番について解説していきます。

『鋼の錬金術師シャンバラを征く者』は旧版の最終回の続編として公開されました。エルリック兄弟が2つの世界に引き裂かれてしまい、それぞれ錬金術の世界と現実世界を行き来することで再会を目指す物語が展開されており、旧版の本当の結末が描かれているとも言い換えられます。この作品は旧版と同じくオリジナルストーリーとなっており、上映時間は105分となっています。

『鋼の錬金術師嘆きの丘（ミロス）の聖なる星』は原作第45話に当たる時系列を舞台にオリジナルストーリーが公開されています。首都セントラルの中央刑務所からメルビン・ボイジャーが脱獄し、彼の錬金術によってエルリック兄弟の心が操られてしまいクレタとの国境に向かうところから物語が始まります。本作は原作では描かれなかったストーリーとして楽しむことができ、上映時間は111分となっています。

鋼の錬金術師のOVAは新アニメ版のパッケージに収録されていた作品です。エルリック兄弟の旅路を補完するようなストーリーが展開されており、収録本数は全4話となっています。OVAではイズミ師匠の過去やマスタングとヒューズの若かりし頃が描かれており、ハガレンの登場キャラクターに魅力を感じている人にとっておすすめできる作品となっています。

ハガレンシリーズを見るおすすめの順番は上記のようになります。しかし、作品を時系列通りに楽しみたいという人の場合、新版の第10話『それぞれの行く先』の後に劇場版『鋼の錬金術師嘆きの丘の聖なる星』を見る方が望ましいです。本作品はオリジナルストーリーで新鮮な気持ちで楽しめると評価されていますが、一部の人からは本編の最終回を見た後では少し物足りなかったと言われています。また、OVAは劇場版を見終わった後の余韻として残しておくのも悪くありません。

事前にあらすじやキャラクターの概要を知ってからアニメを楽しみたいという人はいるでしょう。また、旧版のみを視聴済みで、新版や劇場版を見たいと思ってもキャラクターを忘れてしまったという人もいるはずです。ハガレンには魅力的なキャラクターが多く登場しており、彼らが織りなすストーリーはミステリアスでありながらもとても感動的です。ここではハガレンにおける主要キャラクターを紹介します。なお、ここで紹介する内容は原作のものとします。

エドワード・エルリックは本作品の主人公です。12歳にして国家錬金術師になった経歴を持ち『鋼の錬金術師』と謳われています。短気で他人に容赦をしない悪ガキですが、一方で努力家かつ正義感が強い人情家でもあり弟を始め多くの人から慕われています。人体錬成によって失ったアルフォンスの全身を取り戻すために旅をすることになり、国に潜む真実と対峙していくことになります。

アルフォンス・エルリックはエドワードの弟です。血気盛んな兄と違って素直かつ温和な性格をしており、全身鎧で大柄な体格に見合わず子どもっぽい言動を見せることがあります。幼少期の頃に人体錬成を失敗したことによって全身を真理の扉に持っていかれてしまい、兄が右腕を代償に魂だけを取り戻したことで鎧の姿になって一命を取り留めました。以降は兄と共に元の身体に戻るための手段を探す旅に出ます。

ウィンリィ・ロックベルは本作品のヒロインです。エルリック兄弟の幼馴染であり、機械鎧整備士として生計を立てています。明朗快活で根性と肝っ玉を売りにする性格をしており、普段はお転婆ながら誰よりも優しく思いやりが深い一面があります。エドワードに対して恋心を抱いており、機械鎧整備士としてエルリック兄弟をサポートしています。

ロイ・マスタングはアメストリス軍に所属する軍人です。大佐の階級に立つ凄腕で、女好きでいい加減な人物を装っていますがいつかは大統領の地位を狙っている野心家です。エルリック兄弟の過去を知っている数少ない人物の内の1人であり、利害の一致で協力関係にありますがエドワードからは毛嫌いされています。

リザ・ホークアイはアメストリス軍に所属している女性軍人です。階級は中尉でマスタングの部下に当たります。仕事に対して真面目な性格をしており任務中は冷静沈着にしていますが、プライベートでは笑顔を見せることが多いです。

マース・ヒューズはアメストリス軍に所属している軍人です。大尉の階級から中佐まで上り詰めており、軍法会議所に勤務することになります。超がつくほどの親バカかつ愛妻家であり、仕事場にて家族の写真を見せびらかしてのろけ話に花を咲かせることが多々あります。

アレックス・ルイ・アームストロングはアメストリス軍に所属する軍人です。階級は少佐でヒューズの部下に当たります。二つ名『豪腕』を与えられるほどの筋肉を携えており、軍人としては優しすぎると言われるほど情に厚い性格をしています。

これまでハガレンの新旧アニメの違いや見る順番などについてまとめてきましたが、まるで別作品となっている2つのアニメ作品に対してハガレンファンはどのように思っているのでしょうか。ここでは新旧アニメの違いに対して意見、感想を呟いているコメントを参照し、その内容をまとめていきます。

新旧両方のアニメを視聴したファンの間ではどちらも面白かったという意見がとても多く寄せられていました。アニメにおけるオリジナルストーリーは評価が分かれてしまうことが少なくありませんが、ハガレンの場合は原作を知っている人からしても満足できる内容になっていると言えるでしょう。

原作や新版の内容しか知らない人の間で旧版の内容が気になるという意見が多く見受けられました。原作とは違うオリジナルストーリーで、最終回の結末が違うところに興味を持っている人が多いように感じられました。見る順番を新版→旧版にしても違った面白さを感じられることでしょう。

見る順番が分からなかった人の意見で、劇場映画の内容が理解できなかったというコメントがありました。劇場作品は旧版の最終回、新版の途中からとそれぞれ時系列が決まっているため視聴する際には注意が必要でしょう。

ハガレンの新旧アニメにはそろぞれストーリーや設定に大きな違いがあります。最終回までの流れや結末の内容も異なるため、気になる人は2つの作品を見ておくべきでしょう。また、ハガレンは劇場アニメの他に実写映画化もされているため、全ての作品を見てもなおハガレンをまだ楽しみたいと思った人はぜひそちらもチェックしてみてください。