【化物語】忍野扇が花物語で男になっていた理由は?人物像や正体まとめ
『化物語』シリーズの忍野扇について解説します。女性として登場したのに、『花物語』で男性になった忍野扇の正体や目的、性別変化の理由についてまとめました。また、忍野扇と『化物語』のほかのキャラとの関係や、アニメ版での担当声優などについても紹介しています。
目次
【化物語】忍野扇とは?
『化物語』から始まる〈物語〉シリーズには、さまざまな奇妙な人物が登場しますが、その点で突出しているのが忍野扇です。『花物語』では突然男性化して読者や視聴者を惑わしますが、一体忍野扇の正体や真の性別は何なのでしょうか。それについて迫る前に、まずは基礎的な情報を押さえておきましょう。
忍野扇のプロフィール
「忍野扇(おしのおうぎ)」は、『化物語』から続く〈物語〉シリーズに登場するキャラクターです。シリーズ第5弾の『傾物語』で、私立直江津高校への転校生として初めて登場しました。天涯孤独のはずの忍野メメの姪を名乗っており、可愛らしい見た目とは裏腹の慇懃無礼な性格をしています。黒髪のショートカット、真っ黒な瞳という容姿で、小説版では黒い手袋によって、アニメ版では長い袖によって両手を隠しています。続く『花物語』においては、男子生徒として登場しました。
化物語の概要
『化物語』は、作家・西尾維新の手によるファンタジー小説です。『傷物語』、『偽物語』など続編も多数刊行されており、まとめて〈物語〉シリーズと呼ばれています。ジャンルは「青春怪異小説」で、ギャグやパロディ、メタ視点を多数まじえた会話劇を中心に話が進む点を特徴とします。シリーズは、2023年5月現在で30巻が刊行されています。
化物語のあらすじ
忍野扇が登場する〈物語〉シリーズの第1作である『化物語』の主人公は、阿良々木暦(あららぎこよみ)という田舎町の高校生です。暦はさまざまな「怪異」とかかわった少女たちとの出会いを重ね、それら怪異にまつわる事件を解決していくことになります。忍野扇が登場する傾物語』はシーズン2の第2弾で、こちらでは『化物語』に登場した八九寺真宵(はちくじまよい)にまつわるストーリーが展開します。
【化物語】忍野扇が男になっていた理由や正体・人物像を考察
忍野扇は、『化物語』のシリーズ『傾物語』や『終物語』で女性として登場したものの、『花物語』では唐突に男性になっていました。一体なぜこんなことが起こったのでしょうか。忍野扇が男性化した理由や彼女(彼)の正体などについて考察してみました。
忍野扇が花物語で男の姿になった理由
『花物語』の忍野扇男性化の理由として有力なのは、「神原駿河のレイニー・デヴィルの力による怪異だった」説です。忍野扇の正体は自己批判精神が生み出す怪異で、生みだした本人とは真逆の存在となります。もともと女性だったのは生み出したのが暦だったからで、神原が生み出したのなら男になるのも自然という理屈です。しかし、忍野(男)は神原の知らないことも知っており、その点でこの説には矛盾があるとの指摘もあります。
忍野扇はくらやみに取り込まれそうになる
『化物語』のファイナル・シーズン『終物語』において、忍野暦はクライマックスで「くらやみ」に喰われそうになっています。「くらやみ」は、自身を偽る怪異を取りこむ性質があるのです。そこへ登場した忍野メメが、扇を「自分のかわいい姪」だとして役割を与えたことで、扇はピンチを脱しました。しかし、忍野扇=怪異であることは変わらず、今後も正体不明さは維持されなくてはならないため、その一環として『花物語』で男性化したのでは、との意見もあります。
忍野扇は様々な怪異事件の首謀者だった?
『化物語』に連なる『花物語』で男性化した忍野扇は、シリーズを通し多くの怪異に関わっている人物でもあります。『花物語』では神原駿河に「悪魔様」の情報を吹聴していますし、『囮物語』では千石撫子に北白蛇神社のご神体のお札のことを伝えました。さらに『恋物語』では、貝木泥舟襲撃の指示者として匂わされているなど、忍野扇の正体不明さはこうしたところにも見て取れます。
忍野扇の目的
『化物語』シリーズの『花物語』で男へと性別変化した忍野扇は、上記のようにさまざまな怪異事件の陰で暗躍しています。その怪異事件は暦が出会った少女たちが関係するものであり、時には暦自身を攻撃する意図も見せます。この理由としては、暦の自己批判精神を正体とする扇が、本人が顔を背けようとしている負の感情について、はっきり目の前に突きつけようとしているとも見て取れます。
忍野扇のその後
『花物語』で男性に性別を変え、『終物語』で暦とメメに助けられた忍野扇は、暦の卒業式の日もいつも通りの姿で直江津高校に存在しています。怪異である彼女(彼)は『化物語』シリーズにおいて歳を取ることがなく、常に同じ容姿のままなのです。暦たちが23歳になっている『結物語』でも、扇は15歳のままで直江津高校に通い続けていることが判明しています。それだけでなく、「迷える生徒をさらに迷わせる存在」として、七不思議にまでなっていたのでした。
忍野扇の本当の性別は?
『終物語』などでは女性だったのが、『花物語』で学ランを着た男性へ変化した忍野扇ですが、一体本当の性別はどちらなのでしょうか。これについては謎としか言えず、はっきりした答えは用意されていません。そもそも、それぞれが同一人物かもわからないのです。『花物語』作中では「君は女ではなかったか?」という神原駿河の問いに対し、扇が「昔から男ですよ」と返すくだりがありますが、謎の答えは結局わからずじまいです。
忍野扇の正体は阿良々木暦の自己批判精神?
すでに何度か述べましたが、忍野扇の正体は「怪異」です。それも、『化物語』シリーズの主人公・阿良々木暦の自己批判精神がが生み出した、正体不明の怪異になります。そのため暦の持つ情報はすべて彼女(彼)に筒抜けで、一切の隠しごとはできません。こうした正体からすると、理由はともあれ突然の性別変更も納得できるような気はします。
忍野扇の名言
正体は暦の自己批判精神で、女性・男性の性別も不明という『化物語』シリーズの忍野扇ですが、作中ではいくつか印象的なセリフを残しています。ここでは彼女(彼)のそうした名言を紹介しましょう。
忍野扇の名言①「私は何も知りませんよ…」
私は何も知りませんよ。あなたが知っているんです。阿良々木先輩。
出典: kakoshiru.com
上で述べたように、忍野扇は暦自身が生んだ怪異で、彼の持つ情報はすべて握っています。逆に言えば、彼女(彼)の知識は暦が持つ情報に完全に依拠するということで、このセリフは一見謎めいているものの、その事実を端的に表しているにすぎません。
忍野扇の名言②「交差点の信号が…」
「交差点の信号が、全て赤になる瞬間があるのをご存知ですか。
先輩だって、毎日のように見ているハズです。
あちこち交通事故にならない為に、そんな現象を起こしているんですよ。
分かっていませんね、この愚か者は」
「縦の信号が赤になってから、横の信号が青になるまでの間に、どの信号にも必ず3秒のタイムラグがあるんですよ。
つまり、全てが停止する。
交差点における、空白の3秒間といったところです。
逆に、信号が全て青になる瞬間なんてありません。
危険を示す赤信号で世界が満たされた瞬間こそ、いつもより安全な時間であり。
逆に安全を示す青信号で世界が満たされた時、世界のどこよりも危険な場所が出来上がってしまうという矛盾……」
『終物語』での登場時に忍野扇が発したセリフです。シリーズではほとんど初登場といっても良いシーンですが、いきなりこの長台詞をまくしたてます。ようは世界は危険に満ちており、足元をすくわれないための用心が必要だ、といった意味になります。
【化物語】忍野扇と関係するキャラ
主人公の自己批判精神を正体とする謎の女性(男性)・忍野扇ですが、『化物語』シリーズで彼女と関係するキャラにはどういった面々がいるのでしょうか。続いてはその点について見ていきましょう。
関係するキャラ①羽川翼
『化物語』シリーズでは暦に取り入っている忍野扇ですが、羽川翼は彼女(彼)を警戒しています。暦をめぐって勝負を挑んだり、扇も羽川に対しあからさまな挑発を仕掛けるど、2人の仲は険悪そのものです。
関係するキャラ②神原駿河
忍野扇は登場時神原駿河の後輩として紹介されており、彼女との関係は暦に次いで深いものとなっています。しかし、扇が男へと性別を変えた『花物語』では駿河の態度が一変し、冷たくあしらうような様子になっています。一方扇の方は、いつもの「慇懃無礼」スタイルを崩していません。
関係するキャラ③忍野メメ
『化物語』シリーズの忍野扇は忍野メメの姪(『花物語』では甥)を名乗っていますが、それは事実ではありません。『終物語』では彼女を「くらやみ」で退治する計画が実行されかけましたが、メメは扇の嘘を追認し、結局彼女(彼)は救われることとなりました。
関係するキャラ④千石撫子
『花物語』に続く『囮物語』で男から女に戻った忍野扇は、千石撫子の前に現れます。千石撫子は警戒感を抱きますが、この後扇は「くちなわ」のシュシュを撫子に渡すなどにより、彼女が神様となる契機を作っています。
関係するキャラ⑤貝木泥舟
貝木泥舟は詐欺師で、『化物語』シリーズの第9弾『恋物語』では主人公を務めます。『恋物語』で忍野扇は直接登場しないものの、作中では中学生をそそのかし、貝木を襲撃させたことが匂わされています。
【化物語】忍野扇の声優
女性から男性へ、そしてまた女性へ戻るなど性別が良くわからない『化物語』シリーズの忍野扇ですが、アニメ版では誰が声を担当しているのでしょうか。今ひとつ掴みどころのない彼女(彼)の担当声優について紹介しましょう。
忍野扇の声優は「水橋かおり」
アニメ版『化物語』セカンドシーズンや『終物語』で忍野扇を演じている声優は、水橋かおりです。水橋氏は人形マニアとしても知られ、自宅には100体を超えるドールを所有しています。演じる役柄は、無邪気なロリータキャラや少年キャラなどが多くなっています。
水橋かおりのプロフィール
水橋かおりは1974年8月28日生まれの現在48歳で、出身は北海道になります。高校生の頃に声優を志し、1996年にデビューしました。2001年にはNHKアニメの『カスミン』で主役を獲得、一躍知名度を上げました。以来数多くの作品に出演し、現在に至っています。
水橋かおりの主な出演作品
水橋かおりの主な出演作品は、前述の『カスミン』(春野カスミ)のほか、『魔法少女まどか☆マギカ』(巴マミ)、『ひだまりスケッチ』(宮子)、『げんしけん』(荻上千佳)、『魔法少女リリカルなのは』(ユーノ・スクライア・高町ヴィヴィオ)などがあります。
【化物語】忍野扇に対する世間での評判や人気
性別が不明で正体も分かりづらい忍野扇ですが、世間一般ではどのように受け止められているのでしょうか。こちらの項目では、忍野扇に対する人気や印象について探ってみました。意外にというか案の定というか、実に幅広い感想が持たれているようです。
最初の感想は「かわいい」というものですが、「忍野扇くん」となっていることから、『花物語』での忍野扇に対するイメージと思われます。男性化しているとはいえ顔自体はほぼ以前と同じなので、こうした感想も理解できます。
忍野扇の印象、続いては「怖い」という意見です。可愛い顔で事件を裏から操る彼女(彼)を「怖い」と感じる人は多いようで、このツイートのほかにも同様の意見がいくつか見られました。正体のつかみどころのなさも、恐怖感の醸成に一役買っていると思われます。
最後は忍野扇の不気味さが「癖になる」という意見です。目的も正体も曖昧で謎めいているものの、その不穏さが逆に魅力ということでしょう。こちらも少なくない人が感じている印象のようです。
【化物語】忍野扇が男になっていた理由は謎だった
『化物語』シリーズの忍野扇について解説してきました。このように忍野扇は、女性として登場したのにいきなり男性に変化するなど、謎多きキャラクターとなっています。その正体は主人公の自己批判精神が生んだ怪異なのですが、性別変化の理由は最後まで分かりません。しかし、性別が曖昧というのは非常に不可解な特徴であり、その点でも興味深い存在と言えます。彼女(彼)についてもっと知りたいという方は、ぜひ原作小説やアニメに触れてみてください。
この記事のライター
だいじろう
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