【鬼滅の刃】ひょっとこのお面を刀鍛冶がする理由を解説！日本古来の伝統との関係とは？

鬼滅の刃に登場する刀鍛冶、  鋼鐵塚蛍（はがねづかほたる） はひょっとこのお面をつけています。ひょっとこのお面をつけて素顔を隠している鬼滅の刃の登場人物は鋼鐵塚蛍だけではなく、刀鍛冶の里に住む人間は全員がひょっとこのお面をつけています。この記事では鬼滅の刃に登場する刀鍛冶の里の住人がなぜひょっとこのお面をつけているのかについての考察。そして、ひょっとこのお面をつけた登場人物を名前の読み方と共に一覧にしてご紹介します。

鬼滅の刃、刀鍛冶の里編に登場する小鉄（こてつ）という少年の背中には火男（ひおとこ）という文字が書かれています。この火男という言葉がなまった結果ひょっとこという言葉が生まれたと言われています。ひょっとこのモデルになった男が、かまどの火を竹筒で吹いて守る役目を持っていたことから、「火男」と呼ばれていました。これがひょっとこのお面の由来と考えられています。鬼滅の刃でも火を扱う刀鍛冶の里の人々だけがひょっとこのお面をつけています。

鬼滅の刃とは高クオリティなアニメ化により、社会現象と呼ばれるほどの大ブームを巻き起こした漫画です。鬼滅の刃は 2020年12月7日～13日の週間コミックランキング第1位から23位を独占、コミック最終刊は年間コミックランキング史上初の517.1万部を売り上げました。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は興行収入400億円を突破。『千と千尋の神隠し』を超えて、国内で上映された映画の歴代1位となりました。

鬼滅の刃は母と弟妹を鬼舞辻無惨（きぶつじむざん）に殺された竈門炭治郎（かまどたんじろう）が、鬼になってしまった妹・竈門禰豆子（かまどねずこ）を人間に戻すために鬼を倒す鬼殺隊に入隊し、鬼との戦いに身を投じていく物語です。鬼の殺戮により生み出される悲しみをこれ以上繰り返さないため、炭治郎は仲間たちと共に強敵である鬼に命懸けで挑んでいきます。

鬼を唯一斬ることのできる日輪刀を打つ刀鍛冶のいる里は、その場所を鬼に悟られないために厳重に隠されています。鬼殺隊の隊士ですら、刀鍛冶の里の場所を知りません。隊士は目隠しと鼻栓をし、隠（かくれ）と呼ばれる支援担当たちに交代でおんぶをされながら移動することで刀鍛冶の里に行くことができます。刀鍛冶の里に住む人々は子どもから大人まで全員がひょっとこのお面をつけて素顔を隠しています。その理由を考察しました。

鬼滅の刃における刀鍛冶とは、日輪刀を打つことのできる鍛冶師のことで全員がひょっとこのお面をつけています。日輪刀は一年中日光が射す陽光山で採取できる猩々緋砂鉄（しょうじょうひさてつ）と猩々緋鉱石（しょうじょうひこうせき）から作られます。隊士の体型や戦い方に応じた刀をそれぞれの刀鍛冶が担当制で打っています。刀鍛冶は場所を厳重に隠されている刀鍛冶の里でひょっとこのお面を被り、素顔を隠して生活しています。

鬼を斬ることのできる唯一の刀である日輪刀を打てる刀鍛冶は限られています。刀鍛冶の里が厳重に隠されているように、希少な刀鍛冶の素顔はひょっとこのお面で隠しておく必要があったのではないでしょうか。刀鍛冶の里に住む全員がひょっとこのお面を被ることによって、鬼に顔で判別されないようにしていたということが考えられます。お面にひょっとこが選ばれたのは後述の竈神や鍛冶神の話からだと推測できます。

刀は鉄を1000度を超える高温の火の中に入れ、平たく打ったものを折り重ねていくことで作られていきます。高温の火を覗くときには熱気が顔に当たり、鉄を打つ際には火花が散ります。ひょっとこのお面は刀を打つ工程で使われる高温の火から顔を守る意味合いがあるのかもしれません。

鬼滅の刃12巻98話から15巻127話まで続く刀鍛冶の里編には、ひょっとこのお面をつけた多くの刀鍛冶が登場します。鬼滅の刃の登場人物は名前の読み方が難しいことが多いのですが、刀鍛冶の里の住人たちも、かなり特殊な読み方をする名前の人物が多いです。全員が素顔をひょっとこのお面で隠している刀鍛冶の名前を一覧にして、名前の読み方と共にご紹介します。

鬼滅の刃のアニメでも登場済みの鋼鐵塚蛍の読み方は「はがねづかほたる」です。竈門炭治郎の日輪刀を担当している刀鍛冶で、刀に異常なまでの思い入れがある刀鍛冶です。炭治郎が刀を折ったりなくしたりする度に激怒して追いかけ回し、「おまえにやる刀はない」という手紙を送るなど執念深い性格です。そのコミカルな姿が人気で第１回鬼滅の刃キャラクター人気投票では２３位を獲得しました。年齢は37歳で妻子はいません。

鋼鐵塚蛍は、人の話を聞かず、気難しいかんしゃく持ちという難のある性格を幼少期から発現していました。鋼鐵塚蛍の両親は彼が２歳のときにノイローゼで育児を諦めてしまい、里長の鉄河原鉄珍（てつがわらてっちん）が引き取って育てることになりました。蛍という名も鉄河原鉄珍がつけたもので、本人は「かわいすぎる」として文句をつけたこともあります。鉄河原鉄珍に直々に鍛冶を教わった鋼鐵塚蛍の鍛冶師としての実力は高いです。

刀鍛冶の里の中でもずば抜けて偏屈な性格を持つ鋼鐵塚蛍は、刀を折ったりなくしたりした隊士を容赦なく責め立てて追いかけ回すほど刀に執着を持っています。その難のある性格ゆえに炭治郎以前に担当していた鬼殺隊の隊士からは嫌われ、担当の変更を願う者が後をたたなかったそうです。口にはしませんが、めちゃくちゃな振る舞いをしても担当変更を願い出ない炭治郎のことを内心嬉しく思っている描写もあります。

鋼鐵塚蛍のひょっとこのお面の下にある素顔は、かなり整った顔立ちをしています。鬼滅の刃の作中でもイケメンという扱いを受けていますが、性格に難があるため嫁をもらうことができていないことが語られています。 上弦の伍である玉壺（ぎょっこ）に襲われ、片目を失ってもなお刀を打ち続ける集中力は常軌を逸したものでした。

鬼滅の刃のアニメでも登場済みの鉄穴森鋼蔵の読み方は「かなもりこうぞう」です。嘴平伊之助（はしびらいのすけ）の刀を担当している刀鍛冶です。伊之助は鉄穴森鋼蔵が自信を持って作ってきたばかりの刀を庭で見つけた石でたたいて、わざと刃こぼれさせて、いつもの刀に仕上げました。これには穏やかな鉄穴森鋼蔵も激怒していました。普段は温厚であり、鋼鐵塚蛍ほど難のある性格ではありません。

 鉄穴森鋼蔵は刀鍛冶の里で同じく刀鍛冶をしている鋼鐵塚蛍を「情熱的な人」と表現しています。鋼鐵塚蛍の偏屈な性格が里でいかに有名かがうかがえます。鋼鐵塚蛍との交流は深いようで、彼の弱点が脇をくすぐられることだと炭治郎に教えます。「鋼鐵塚さんはくすぐられるとしばしグッタリしますので」という台詞もあり、偏屈でうるさい鋼鐵塚蛍を鉄穴森鋼蔵がくすぐって黙らせてきたことがわかります。

単行本のおまけでは、鉄穴森鋼蔵のひょっとこのお面の下にある素顔と年齢が明かされています。２６歳で鋼鐵塚蛍より９歳年下であり、太めの垂れた眉と右目の泣きぼくろが特徴的な素顔です。首がやわらかいことが特徴の妻、鉛（えん）がいることも明かされました。 鉄穴森夫妻の仲はとても良いようで、顔も似てきたそうです。５年前、鉄穴森鋼蔵が２１歳のときに鉛にひとめぼれをして結婚したようです。 

鉄地河原鉄珍の読み方は「てっちかわはらてっちん」です。刀鍛冶の里長でもあり、甘露寺蜜璃（かんろじみつり）と胡蝶しのぶ（こちょうしのぶ）の刀を担当している刀鍛冶です。若い娘が大好きという軽薄な部分もありますが、刀鍛冶としてのプロ意識は非常に高く持っています。鋼鐵塚蛍の名付け親で育て親でもあり、炭治郎の刀が折れたことに対しては「折れるような鈍（なまくら）を作ったあの子が悪い」と言い放ちました。

小鉄の読み方は「こてつ」です。小鉄の祖先は３００年ほど前に戦闘用からくり人形、縁壱零式を作りました。先祖の技術力は高く、現在でも縁壱零式を超える人形を作れる者はいません。小鉄の一族は縁壱零式を大切に守ってきました。一家のひとり息子であった小鉄は突然父を亡くし、からくり人形師を継ぐことになりました。

子どもらしいかわいい見た目に反し、小鉄はかなりの毒舌の持ち主であり、執念深い負けず嫌いです。霞柱・時透無一郎に恨みを持った小鉄は、炭治郎に無一郎を打ち負かして欲しいという一心で、大事にしてきた縁壱零式を炭治郎の訓練のために貸します。分析力の高い小鉄は炭治郎の動きを正確に見極め、毒舌でアドバイスをし、炭治郎の戦闘力の向上に貢献しました。 

小鉄は他の刀鍛冶たちと同様にひょっとこのお面を被っています。ですがお面を取ったときの素顔がひょっとこのお面に似すぎていて、ひょっとこのお面がいらないんじゃないかと言われています。

鉄井戸の読み方は「てついど」と読みます。霞柱・時透無一郎の最初の刀を作っていた刀鍛冶で、心臓病で亡くなっています。鬼殺隊に入隊してわずか２ヶ月で柱となった無一郎の血反吐を吐くような努力を知っており、彼のことを案じていた人物だったようです。

鉄井戸は心臓病で亡くなる前に、時透無一郎の日輪刀の作り方を書き付けに残していました。ボロボロになっても鉄井戸が作った日輪刀を使い続けていた時透無一郎は、その書き付け通りに鉄穴森鋼蔵が打った刀を受け取りました。鉄井戸は死後も時透無一郎を支えた刀鍛冶です。

 刀鍛冶の里を襲った 上弦の肆・半天狗 に喰われそうになっていたところを、炭治郎に助けられた３人の刀鍛冶です。それぞれの名前の読み方、鉄谷（てつたに）、鉄導寺（てつどうじ）、鉄本中（てつもとなか）と読みます。

 上弦の伍である玉壺（ぎょっこ）により、死体をつなぎ合わせられて「鍛人の断末魔（かぬちのだんまつま）」という作品にされてしまった５人です。名前の読み方はそれぞれ金剛寺（こんごうじ）、鉄尾（てつお）、鉄池（かないけ）、鋼太郎（こうたろう）、鉄広叔父さん（てつひろおじさん）と読みます。

ひょっとこは日本の古来からあるお面であり、神として扱われることもあります。鬼滅の刃の作中で刀鍛冶が素顔を隠し、高温の火から顔を守るためにつけているひょっとこのお面は、日本古来から伝わるひょっとこと関係があることがうかがえます。

ひょっとこは東北地方では竈神（かまどかみ）と呼ばれています。ひょっとこのお面は鍛冶を行う火男が、唇を尖らせて火を吹いている表情と言われ、鍛冶の神の系譜とも言われています。火の様子を見るために片目をつぶって火の色を確かめることから、鍛冶の神であるひょっとこは片目を細めているものが本当のひょっとこの顔だとされています。

鬼滅の刃作中では鋼鐵塚蛍が上弦の伍・玉壺に襲われて、片目を失う描写があります。片目を細めている姿が本物とされているひょっとこの姿と隻眼になった鋼鐵塚蛍は重なるものがあります。日輪刀を隻眼になっても打ち続けた鋼鐵塚は神の領域に達したという意味があるのかもしれません。

ひょっとこは鍛冶神ともいわれています。日本神話に登場する天目一箇神（あまのまひとつのかみ）です。 天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩屋戸に隠れてしまったときに刀や斧などの祭器を作った神といわれていることから鍛冶の神として祀られています。天目一箇神は隻眼であるとされており、高温の火を片目で見定める内に片目になったという話です。これも鋼鐵塚蛍が隻眼になった物語とつながります。

２０２２年１月現在、鬼滅の刃のアニメに登場している刀鍛冶は鋼鐵塚蛍と鉄穴森鋼倉のふたりです。ふたりともベテランの有名声優が起用されています。

浪川大輔さんは、子役時代から声優を務めてきた大ベテランの声優です。声優なのに漢字の読み方がわからない、要約して話すことが苦手などのお茶目な人柄もあり、いじられ役として同業者からも人気の愛されキャラの声優です。ハスキーな甘い声が人気であり、コミカルなキャラから主役までこなす幅の広い演技力を持っています。

渋い役から軽薄な役までこなす実力のある声優として知られています。明るい性格でMCとしての実力も高く、アニメやゲームのイベントではMCを担当することも多いです。プロフィールの特技欄には「妻自慢」と書くほどの愛妻家ということでも知られています。

鬼滅の刃の刀鍛冶たちがつけているひょっとこのお面に「火男」や「鍛冶神」としての意味があると知った人たちは、鬼滅の刃の設定の深さに驚いている人が多かったです。コミカルなキャラクターとイケメンで人気を博した鋼鐵塚蛍推しのファンは、鍛冶の神である 天目一箇神を祀る神社を聖地として扱っている人もいるようでした。

世界ふしぎ発見で鬼についての特集が組まれ、天目一箇神にスポットが当たり、鬼滅の刃の刀鍛冶たちがひょっとこのお面をつけている理由に気がついた人が驚きの声をあげていました。

鱗滝（うろこだき）がお面をつけている理由は、顔立ちが優しすぎて鬼に馬鹿にされたからだということが、アニメの大正コソコソ噂話で明かされました。

鬼滅の刃の刀鍛冶たちがひょっとこのお面をする理由と刀鍛冶の里の登場人物を一覧でご紹介しました。ひょっとこのお面をする理由は、鬼に素顔を知られないようにという目的と高温の火から顔を守るためでした。また鋼鐵塚蛍が炭治郎のために最高の出来映えの日輪刀を作った際に、片目を奪われても鬼気迫る集中力で刀を打ち続けたことは、鍛冶の神である天目一箇神の領域に踏み込んだという描写だったのでしょう。日本の神話にまでさかのぼる鬼滅の刃の設定の深さはファンの心を掴み続けています。