【ハウルの動く城】ソフィーの姿の変化を考察！込められたメッセージとは？

ソフィーとはジブリ作品『ハウルの動く城』に登場する主人公です。登場した時は18歳の少女でしたが、荒れ地の魔女から魔法をかけられてしまい、90歳の老婆となりました。ソフィーは自分にかけられた呪いを解くために、旅に出るのです。まずはソフィーのプロフィールを紹介して、彼女の人物像に迫ります。

ソフィーは父親が残した帽子屋の、跡取り娘として働いています。店の経営は継母に任せています。ソフィーは、街中で兵士にナンパされるほどの容姿を持っていました。しかしネガティブで消極的な性格であるため、自分の容姿に自信が持てていません。作品に登場した際は18歳の若い少女でしたが、呪いによって老婆になってしまいました。

『ハウルの動く城』は2004年11月に公開された、スタジオジブリが制作したアニメーション映画です。作品の監督は宮崎駿さんが務めました。『ハウルの動く城』は、イギリスの作家が書いた小説『魔法使いハウルと火の悪魔』が原作になっています。『ハウルの動く城』の主題歌を歌っているのは、ソフィーの声を演じた声優です。

帽子屋で働く少女・ソフィーは、店を訪れた魔女に呪いをかけられ、18歳の少女から90歳の老婆に姿が変化してしまったのです。呪いを解くため、ソフィーは旅に出ました。途中、魔法使いハウルが住む動く城に出会います。ソフィーは城の掃除婦となり、ハウルの傍に居続けました。隣国との戦争に備え、魔法の師であるサリマンからハウルに協力の要請が来ます。要請を受けなかったハウルは、サリマンから狙われるのです。ハウルを信じているソフィーは、彼を助けるために奮闘するのでした。

『ハウルの動く城』主人公・ソフィーは、荒れ地の魔女から呪いをかけられます。若い少女から老婆に姿が変化してしまうのです。老婆になったソフィーですが、ときどき若い姿に戻るシーンがあります。呪いを解いてない状態で、なぜ若い姿になるのでしょうか。ここでは、ソフィーに起きる変化の理由について考察します。

ソフィーは帽子屋に訪れた荒れ地の魔女から、老婆になる呪いをかけられました。荒れ地の魔女が魔法でソフィーに呪いをかけた理由は、ソフィーへの嫉妬です。荒れ地の魔女はハウルを愛していたと推測されます。そんな中、ハウルはソフィーが兵士からナンパされているところを助けました。荒れ地の魔女はソフィーが強力な競争相手であると悟ったため、帽子屋を訪れて呪いをかけたのです。

『ハウルの動く城』では、老婆になったソフィーがときどき若い少女の姿に戻るシーンがあります。若い姿になる理由としては、ソフィーの精神が影響しているという説が有力です。ソフィーは自身が抱えている劣等感が薄まる時、本当の姿を取り戻していました。ここからは、ソフィーの姿が変化するシーンについて解説します。

『ハウルの動く城』でソフィーが若い姿に戻る時、彼女の心に変化が起きていました。ハウルの代わりとして、王室の魔術師・サリマンに会って会談した際、ソフィーは若返っています。サリマンから脅しを受けますが、ソフィーはハウルを信じると強く反論したのです。大好きなハウルのことを思った時、ソフィーの姿は若い少女に戻っていました。

『ハウルの動く城』では一度若返ったソフィーが不安になると、老婆の姿に戻ってしまうシーンが描かれています。花園をハウルと手を繋いで歩いている時は若い姿に戻っていたソフィーが、ハウルが子供の頃に過ごした水車小屋を見た時、再び老婆の姿に戻ってしまったのです。これは、ハウルを失う不安がソフィーを襲い、自己肯定感が下がってしまったためだと考えられています。

ソフィーは消極的な性格であるため、自分の容姿に自信がありませんでした。しかし好意を抱いているハウルを思ったり、自信に満ち溢れたりした時、ソフィーの姿は若い女性に変化しています。つまり、ソフィーの自己肯定感が老化と連動しているのです。

『ハウルの動く城』では、変化するソフィーの姿に込められたメッセージがあります。それは見た目や年齢が問題ではなく、自信や自己肯定感が大切であるということです。ソフィーは消極的な性格から自信を無くし、呪いによって老いてしまいました。しかし次第に自信を得たことで、呪いが解かれ綺麗な少女になったのです。世間体は関係なく、自分の欠点を受け入れる大切さが『ハウルの動く城』で描かれています。

『ハウルの動く城』の主人公・ソフィーは、最後に若さを取り戻しました。しかし髪の色は、白髪のままだったのです。髪色だけが戻らない理由は、ソフィー自身がこの髪色を気に入ったからでした。ブラウンの髪色であったソフィーの髪は、物語の結末で星の光に染まって銀色になったのです。また髪色が戻らなかったのは、自信を得たことでソフィーの自己肯定感が定着したからだと推測されます。

『ハウルの動く城』では、ソフィーのキスシーンが多く描かれています。ソフィーのキスには、魔法とも捉えられる効果がありました。彼女の力は『ハウルの動く城』で明らかにされていませんが、原作ではソフィーに言霊の魔法が宿っているのです。ここでは、作中で描かれるソフィーのキスや言霊の魔法について考察します。

『ハウルの動く城』では、ソフィーのキスシーンが5回描かれています。『ハウルの動く城』はジブリ作品の中でも、キスシーンが多い作品です。キス相手は、ハウル・荒れ地の魔女・カカシ・カルシファーでした。ソフィーがキスをする理由は、言霊の魔法によって命を与えるためだと推測されます。

作中ではソフィーをハウルの城に案内したカカシが登場します。カブ頭のカカシは、荒れ地の魔女に呪いをかけられた隣国の王子だったのです。ソフィーがカブにキスしたことで、彼の呪いは解けました。王子にかけられていた呪いを解くためには、愛する者のキスが必要だったのです。

『ハウルの動く城』で明確に描かれていないソフィーの言霊の魔法は、カルシファーを助けた際に見られました。カルシファーが持っているハウルの心臓を本人に返せば、2人の契約は解除されます。しかしカルシファーは死んでしまうのです。そこでソフィーはカルシファーに命を吹き込み、2人とも生きたまま契約が解除されました。なお作中では、ソフィーの魔法について言及されていません。

『ハウルの動く城』と原作の『魔法使いハウルと火の悪魔』では、ソフィーの描かれ方に違いがあります。映画でソフィーの魔法を明示しなかった理由は、監督が作品に込めたメッセージ性を強くするためだったのです。ここでは、ソフィーに関する原作と映画の違いを紹介します。

『ハウルの動く城』の原作には、ソフィーの一番下の妹・マーサーが登場します。ハウルの弟子であるマルクルは、マーサーと恋仲になっているのです。原作のマルクルは15歳でした。ソフィーの妹で三女のため、マーサーの年齢は16歳以下と推測されます。マーサーは「早く結婚して10人子供が欲しい」と年齢に見合わない発言をしていました。

『ハウルの動く城』ではソフィーの魔法が明示されていません。原作ではソフィーが魔法を駆使して、大活躍するのです。言霊の魔法を使えるソフィーは、様々なものに命を吹き込んでいきます。ソフィーは空気が薄い上空で息が吸える環境にするため、空気に命を吹き込みました。

ソフィーにかけられた呪いは、彼女自身の思い込みが大きく影響していると原作に記されています。荒れ地の魔女は、ソフィーが抱える閉塞感を利用して呪いをかけたのです。ハウルはソフィーにかけられた呪いを解こうとしますが、彼女に変化が見られないことから途中で諦めてしまいます。

『ハウルの動く城』の結末でソフィーとハウルは、「幸せに暮らしました」という結末を迎えます。その後2人は結婚し、子供を授かりました。モーガンという男の子が生まれたのです。ソフィーとハウルのその後は、原作の続編である『アブダラと空飛ぶ絨毯』に描かれています。

作中では若い頃と老婆の姿をしたソフィーが、代わる代わる描かれていました。年齢に差がありますが、彼女の若い頃の声と老婆の声は一人の声優が演じています。ソフィーの声を演じたのは、どのような人物なのでしょうか。ソフィーを演じた声優を紹介します。

『ハウルの動く城』でソフィー役を演じたのは、女優の倍賞千恵子さんです。倍賞さんは、『ハウルの動く城』に登場する人物の声を演じるだけでなく、主題歌も兼任しました。声優として、『劇場版機動戦士ガンダム』『天気の子』で登場人物の声を演じています。

東京の下町で生まれ育った倍賞さんは、のど自慢に出場したことをきっかけに劇団へ入団しました。劇団で歌とダンスの技を磨いたことで、松竹にスカウトされます。1961年にデビューした倍賞さんは、持ち前の明るさと親しみやすさを武器に庶民派女優として活躍しました。

倍賞さんは映画『男はつらいよ』シリーズで、主人公の妹役を演じました。以降、山田洋次監督が作る作品に欠かせないマドンナとなります。大人気シリーズの映画に出演し続けた倍賞さんは、芸能界の第一線でスポットライトを浴び続けて国民的スターになりました。1962年には『下町の太陽』で歌手デビューし、同年のレコード大賞で新人賞を受賞したのです。

作中でソフィーがハウルに送ったセリフに対して、もの凄い伏線回収であることをツイートしているファンがいました。ソフィーは子供の頃のハウルに対して、未来で会うことを約束しました。ハウルがソフィーと出会った時、彼はソフィーを探していたのです。ハウルとソフィーの出会いは、作品の序盤で描かれています。

久々に『ハウルの動く城』を見たら、前回見た時よりも面白く感じたという意見がありました。作中では、ソフィーとハウルが次第に惹かれ合っていきます。ソフィーが抱くハウルへの素直な気持ちが、ファンの心を掴んでいました。

原作を読んでから映画を見ると、更に楽しく見られるという意見がありました。主人公・ソフィーは、原作と映画で描かれ方に違いがあります。ソフィーやハウルに関係する登場人物も違うのです。原作の設定を知った上で映画を見ると、違う視点で物語が楽しめます。

『ハウルの動く城』で描かれるソフィーの姿の変化には、メッセージが込められていました。作中には、若い姿から老婆になる描写があります。その描写は見た目や年齢が問題ではなく、自信や自己肯定感が大切であるというメッセージだったのです。心が未熟なハウルを助けるため、ソフィーは奮闘します。ソフィーのハウルに対する気持ちを詳しく知りたい方は、『ハウルの動く城』をチェックしましょう。