【ゲド戦記】あらすじを結末まで徹底解説!アレンやテルーの謎についても
『ゲド戦記』のあらすじは、現在でも多くの謎が残されている作品としてファンの間で語られています。本記事では『ゲド戦記』のあらすじについて、作品の主要キャラクターでもあるアレンやテルーの謎などの情報を交えながら詳しくまとめました。
目次
【ゲド戦記】とは?
スタジオジブリが制作する劇場版アニメ作品は、いずれも多くのファンに愛されている名作ばかりです。その中でも『ゲド戦記』は初めて劇場公開されて以降、現在でも根強い人気を誇ります。作品のあらすじなどについて触れる前に、まずはその『ゲド戦記』の概要や監督などについて簡単に振り返ってみましょう。
ゲド戦記の映画の概要
『ゲド戦記』はスタジオジブリによって制作された長編アニメーション作品で、2006年7月29日に劇場公開されました。劇場公開当初から大きな話題となった作品でもあり、興行収益はリバイバル上映分を含むと78億円を突破しています。
ゲド戦記の監督
ゲド戦記の監督を務めたのは、宮崎駿さんの息子でもある宮崎吾朗さんです。宮崎吾朗さんは2006年頃から活動している人物で、『ゲド戦記』を通じて映画監督デビューを果たしました。主な代表作には『コクリコ坂から』や『アーヤと魔女』などがあり、現在では株式会社ムゼオ・ダルテ・ジブリ代表取締役を兼任している経歴を持ちます。
ゲド戦記の原作
『ゲド戦記』は1968年から2001年までに発行されたファンタジー小説は原作で、著者はアーシュラ・K・ル=グウィンです。スタジオジブリの代表取締役を務める宮崎駿監督は、1984年時点でアーシュラ・K・ル=グウィン氏に対して劇場版アニメ化の打診を行いましたが断られた経歴もあります。しかし、2003年時点で清水真砂子さんが再び面会した際には考えも変わっており、スタジオジブリによる『ゲド戦記』のアニメ化を果たしました。
【ゲド戦記】あらすじを結末まで解説
1006年に劇場版アニメが公開された『ゲド戦記』は、現在でも多くのファンにあされ続けている名作の一つです。ここでは、現在でも多くのファンを魅了し続ける『ゲド戦記』のあらすじや物語の結末について、作中で描かれていた内容を基に詳しくチェックしてみましょう。
あらすじ①ハイタカとアレンの旅がはじまる
『ゲド戦記』の冒頭にて、主人公のアレンは国の王子であるプレッシャーの大きさから心のバランスを崩してしまい、ふとした拍子に父親でもある国王を殺害してしまいました。実の父親を殺害してしまったアレンはそのまま国を飛び出しましたが、その途中で犬に襲われてしまいハイタカによって救出されます。こうして出会ったアレンとハイタカは、長い冒険の旅路に出ることになりました。
あらすじ②テルーとアレンの出会い
父親を殺害してしまったアレンはハイタカと共に旅をすることになり、人間が奴隷として売られているホートタウンへ辿り着きました。その中で、人攫いの標的にされていたテルーを発見します。アレンはテルーのことを救出しましたが、少女はアレンに対して不服そうな態度を示したまま去っていきました。その直後、今度はアレンが人攫いに襲われてしまいましたが、ハイタカの手によって救出されます。
あらすじ③アレンたちを狙うクモ
その後、ハイタカは安全な場所でもある旧友のテナーの家へ向かうことにします。アレンとハイタカがテナーの家へ向かうと、そこには人攫いに襲われていたテルーも同居していました。その一方で、奴隷に逃走されてしまった人攫いはボスのクモに対して顔に傷のある魔法使いによって妨害されたことを報告しています。それを聞いたクモは、因縁の相手でもあるハイタカの仕業であることを察知しました。これ以降、クモはアレン一行を執拗に狙うようになったのです。
あらすじ④クモとの戦いの末に
クモの策略により、アレンは操られてしまいテルーをクモ城まで誘導されます。ハイタカもテナーを救出するためにクモ城へ向かっていましたが、道中で捕らえられてしまいました。2人が処刑される直前で、テルーの説得により我を取り戻したアレンはクモの腕を切断します。この後、クモはテルーを連れ去り殺害しようとしましたが、テルーの正体が龍であることが判明し、クモを撃退した後は仲間たちと共にテナーの家へ帰還します。その後、アレンは自ら犯した過ちと向き合うために故郷のエンラッドへ帰還しました。
【ゲド戦記】アレンやテルーの謎を考察
『ゲド戦記』内で描かれていた内容の中に、アレンの行動やテルーの正体などについて多くの謎が残されています。ここでは、実際に作中のあらすじなどを基に、アレンやテルーの謎について考察してみましょう。
考察①アレンが父親を殺した理由
『ゲド戦記』映画の冒頭にて、アレンが父親を殺害してしまうシーンが描かれました。このあらすじは原作では描かれておらず、映画のみにしか登場しません。このシーンでは若い世代であれば誰しもが心に秘めている、偉大な存在を目の前にした時に感じる未来への不安感や閉塞感などの心の闇をマイナスな方向で発散してしまう衝動を表現したと、プロデューサーを務めていた鈴木敏夫さんが語っています。
考察②テルーの正体は龍?
『ゲド戦記』の結末にて、テルーの正体が龍だったことがわかりましたが、あらすじ冒頭にも落下する龍が描かれていました。そのため、一部のファンからは冒頭に描かれていた龍もテルーなのではないかと考察されたこともあります。結論から述べると、この龍の正体はテルーではありません。冒頭のシーンは世界の均衡が崩れ始めていることを示唆しているシーンであり、テルーは先祖の特徴が現れた先祖返りの可能性が高いと考察されています。
考察③「人は昔、龍だった」という言葉の意味
『ゲド戦記』では「人は昔、龍だった」と語られています。これは映画のみならず、原作のあらすじ内でも実際に描かれているものです。かつてこの世界では、龍と人間が共存していたこともあり、次第に人間と龍の混血種が生まれるようになりました。龍の血が混じっていても普通の人間として生きていくことになりますが、テルーのように龍の血が濃い人物の場合は、先祖返りを起こすことがあります。そのため、『ゲド戦記』の結末ではテルーの正体が龍であることが明かされていました。
考察④テルーの傷の理由
『ゲド戦記』に登場するテルーには、顔に大きな傷跡が残っています。この傷跡については、幼いときに虐待を受けた影響によるものだということが作中のあらすじで語られていました。また、原作に登場するテルーの傷はさらに酷く、片目は完全に失っていて、右半身のほとんど覆うほどの大きな傷跡が残っています。過去に壮絶な経験をした上で生きることの大切さを誰よりも知っているテルーだからこそ、命を粗末にすることは絶対に許せない彼女の強さが表現されていました。
考察⑤ハジアの正体
ホートタウンには、見るからに怪しい商人も登場しています。その商人はアレンに対してハジアと呼ばれている薬を手渡します。その薬を使用すれば不安や焦燥感などを全て忘れて幸せになれると語り、そのハジアを使用した人物たちがぐったりと横たわる姿も描かれていました。実際に作中で使用していた人物の症状から考察した場合、ハジアの正体は麻薬の一種であることがわかります。これを察したハイタカは、アレンに対してハジアを絶対使用しないように注意していました。
考察⑥ハイタカの顔の傷の理由
アレンと旅を同行することになったハイタカの顔にも、大きな傷跡が残っています。この傷が残る理由は映画では描かれていませんが、原作1巻のあらすじ内で描かれていました。若い頃のハイタカは自分の力を過信してしまったが故に禁断の魔法に手を出してしまい、死者の魂と影と呼ばれる悪き存在を現世に呼び出しています。その影との壮絶な戦闘の結果、顔に大きな傷跡が残っています。かつて自分自身も若い頃に大きな過ちを犯してしまったからこそ、父親を殺害したアレンに寄り添える理解者となりました。
考察⑦ハイタカがテルーを見て驚いた理由
作中のあらすじ内で描かれてない謎の中には、ハイタカがテルーを見て驚いた理由もあげられます。映画版『ゲド戦記』内のみで考察した場合、最も可能性が高い理由としてハイタカがテルーの正体を見抜いていたということがファンの間で有力視されました。尚、原作版ではハイタカとテナーの間に生まれた子供がテルーにあたるため、原作版のあらすじを考慮した場合は久しく会っていなかった娘の姿を見て父親が驚いたとも考えられています。
考察⑧クモとハイタカの関係
映画ではハイタカとクモに深い因縁が残っているように描かれていましたが、作中のあらすじ内ではこの理由についてセリフのみで語られています。かつてクモは魔法の力を用いて強大な力を手に入れようとしていましたが、その策略を阻止したのがハイタカです。クモは改心することを約束した上でハイタカから解放されましたが、現在でも変わることはありませんでした。
考察⑨人々が偽名を使っている理由
作中で生活する人々がそれぞれ偽名を使っていることも、ファンの間で大きな謎として話題になっています。この理由については、他人に真の名前を伝えることは自分の正体を知られてしまうことであり、自分の魂を相手に手渡していることと同じ意味になるからです。万が一相手が悪人だった場合、相手に支配されてしまう可能性もあることから、正体を隠すために偽名を使用して人々は生活しています。
考察⑩テナーの過去
ハイタカの知り合いであり、ハイタカの真の名を知るテナーの過去についても謎に包まれています。この謎について映画のあらすじで詳細に語られることはありませんでしたが、原作2巻にて描かれていました。テナーはかつてカルカド王国の巫女として育てられていた過去がありますが、ハイタカの手によって解放された過去を持ちます。その際に、元の名でもあるテナーと名乗るようになり、後にテルーを引き取ったことで育ての親となりました。
【ゲド戦記】メッセージや原作との違いを解説
スタジオジブリが制作した長編アニメーション作品の『ゲド戦記』のあらすじは、原作と比べると展開や結末が大きく異なる点があります。ここでは、原作とスタジオジブリ版の『ゲド戦記』の違いや、映画を通じてファンに伝えたかったメッセージなどについて詳しく考察してみましょう。
ゲド戦記の映画が伝えたかったメッセージ
『ゲド戦記』のあらすじが異なる点として、映画の冒頭でアレンが父親を殺害してしまうシーンや登場人物の設定や結末など大きく異なる点が多々あります。宮崎駿という、偉大な父親を持つ宮崎吾朗監督のとの関係性からヒントを得た鈴木敏夫プロデューサーは、若い世代であれば誰しもが持っている心のバランスが不安定な時期を表現するために原作とは異なるテイストで制作したと明かしていました。
ゲド戦記の映画と原作の違い
スタジオジブリが制作した映画『ゲド戦記』は、原作の途中をピックアップした作品です。原作の『ゲド戦記』は全6巻まで続いた長編小説で、スタジオジブリが描いた『ゲド戦記』の3巻をベースに制作されたため、結末も大きく異なります。ここでは、映画と原作の違いについて詳しくチェックしてみましょう。
違い①テルーの年齢
映画版『ゲド戦記』に登場するテルーは明確な年齢こそ公表されていないものの、見た目や言動から推測すると15〜16歳程度の少女であることがわかります。これに対し原作の『ゲド戦記』に登場するテルーは6〜7歳くらいの子供として描かれていました。また、原作のテルーはかつて性的虐待を受けた上で、焼殺未遂までされたという壮絶な過去も持ち合わせています。
違い②アレンとハイタカの設定
先述したように、映画『ゲド戦記』の冒頭にて、アレンが父親を殺害するシーンが描かれていましたが、原作にはそのような描写はありません。また、原作版ではアレンの年齢も成人を過ぎている点なども異なる点として挙げられます。また、原作版では世界の均衡が崩れている原因を究明するために、父親からの指示を受けたアレンがハイタカを探すための旅を出ています。
【ゲド戦記】声優一覧
『ゲド戦記』に出演しているキャストは、多くの名作に出演を果たした経歴を持つ名優ばかりです。ここでは『ゲド戦記』に出演している声優について、経歴や過去に出演していた代表作の情報などを交えて詳しくチェックしてみましょう。
声優①アレン役/岡田准一
『ゲド戦記』の主人公であり、エンラッドの王子のアレンを演じているのは俳優の岡田准一さんです。岡田准一さんは1995年にアイドルグループのV6でデビューした人物で、バラエティ番組などでも精力的に活躍しています。主な代表作には『木更津キャッツアイ』のぶっさん役や、『軍師官兵衛』の黒田官兵衛役などが有名です。また、同じジブリスタジオが制作した作品では『コクリコ坂から』の風間俊役なども演じています。
声優②テルー役/手嶌葵
『ゲド戦記』のヒロインであり、顔に大きな火傷の傷が残る少女のテルーを演じているのは、歌手の手嶌葵さんです。手嶌葵さんは、2005年から活動している人物で、本作を通じて本格的に芸能活動を開始しました。また、作中に使用された挿入歌『テルーの唄』でメジャーデビューも果たし、オリコンでは初登場5位を記録した上で、国内出荷枚数は約30万枚を記録しています。
声優③ハイタカ役/菅原文太
アレンの旅に同行する大賢人で、頬に傷があるハイタカを演じているのは俳優の菅原文太さんです。菅原文太さんは1954年から2014年まで活動していた人物で、主に任侠映画で大きな活躍を残し続けてきました。主な代表作には『仁義なき戦い』シリーズの広能昌三役や『トラック野郎』シリーズの星桃次郎役などがあり、1980年には『太陽を盗んだ男』で見せた演技が高く評価されたことで第3回日本アカデミー大賞にて助演男優賞も受賞しています。
声優④クモ役/田中裕子
永遠の命を求めて、生死両界を分ける扉を開いた魔法使いのクモを演じているのは女優の田中裕子さんです。田中裕子さんは1979年から活動している人物で、連続テレビ小説の『おしん』にて青年期の谷村しんの演技が高く評価されました。1983年には『天城越え』を通じてモントリオール世界映画賞主演女優賞も受賞し、同じスタジオジブリ制作の『もののけ姫』ではエボシ御前役も熱演しています。
声優⑤ウサギ役/香川照之
クモの手下で、小心者でありながらもクモの力があることで非道な振る舞いを続けるウサギを演じているのは、俳優で歌舞伎役者でもある香川照之さんです。香川照之さんは、1989年に『春日局』を通じてデビューした人物で、2010年には『劒岳 点の記』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞も受賞しました。過去に出演していた代表作は『鍵泥棒のメゾット』にコンドウ役や、『99.9-刑事専門弁護士-』の佐田篤弘役なども有名です。
声優⑥テナー役/風吹ジュン
ハイタカの理解者であり、親のいないテルーを一人で育て続けるテナーを演じているのは、女優の風吹ジュンさんです。風吹ジュンさんは1973年から活動している人物で、1974年にリリースされた『愛がはじまると』をきっかけに高い人気を獲得しました。主な代表作には『浅田家!』の浅田順子役や、『蘇える金狼』の永井京子役などが有名で、2023年にスタジオジブリから発表された『君たちはどう生きるか』ではうたこ役も演じています。
【ゲド戦記】に対する世間での評判や人気
ここで、『ゲド戦記』に対する世間での評判や人気について詳しくチェックしてみましょう。
映画『ゲド戦記』を見たファンからは、原作を読んでみたくなったという声があがっていました。他のジブリ作品では見られない死生観について掘り下げたあらすじや原作には登場しない父親を刺殺するシーンなど、多くのファンに衝撃を与えている作品です。その結果、原作版『ゲド戦記』に興味を持つファンも大勢現れました。
『ゲド戦記』のあらすじについて、登場するテルーの正体が龍だったという結末に好感を覚えるというファンの声も見受けられました。作中でも重要な存在となっていたテルーの正体が龍だったという設定は、当時多くのファンに衝撃を与えています。そのため、現在でもこの世界観に対して好感を持つファンが残る結果となりました。
『ゲド戦記』を含むジブリ作品のあらすじなどを完全に覚えていたというファンの声も見受けられました。スタジオジブリが制作してきた劇場版アニメ作品は多くのファンに愛され続けていますが、『ゲド戦記』も例外ではありません。『ゲド戦記』内で表現された独自の世界観や結末は、現在でも根強い人気を誇っています。
【ゲド戦記】あらすじは複雑だった
『ゲド戦記』内で描かれていたあらすじや結末などの内容は、現在でも多くの謎が残されるほど複雑だということがわかりました。これらの謎は原作を読んでみることで判明することもあれば、劇場版アニメを見返すことで新たな発見ができることもあります。改めて本作を見返す場合、あらすじや結末以外にちりばめられた細かい描写などにも注目した上で楽しんでみましょう。
この記事のライター
桜井紅茶
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