【ハウルの動く城】荒地の魔女とハウルの関係は？老婆になった理由も解説

ジブリ作品の『ハウルの動く城』に登場し、得体の知れない不気味な存在である荒地の魔女とは、どのようなキャラなのでしょうか。まずは荒地の魔女のプロフィールや、『ハウルの動く城』の概要、あらすじを紹介します。

荒地の魔女は、黒い毛皮と豪華な装飾品を身にまとい、貴婦人のような姿をしている魔女です。50年前に悪魔と契約したことが関係し、王宮を追放された過去を持ちます。体はかなり大きく、黒い人の形をした使い魔を操ります。ハウルの心臓を狙っており、主人公ソフィーがハウルの友人だと勘違いし、ソフィーに老いの呪いをかけた人物でもあります。物語の序盤では悪役であるものの、物語が進むにつれ、仲間の1人となる人物です。

『ハウルの動く城』は宮崎駿監督によるアニメーション映画です。制作会社はスタジオジブリです。原作はダイアナ・ウィン・ジョーンズ著による『魔法使いハウルと火の悪魔』です。映画は2004年に公開され、興行収入196億円を記録しています。「第61回ヴェネツィア国際映画祭」にてオゼッラ賞を受賞するなど、海外でも高く評価されています。主人公ソフィー・ハッターの声優は倍賞千恵子さん、魔法使いハウルの声優は木村拓哉さんです。

主人公ソフィーは帽子屋で働く18歳の少女です。ある日、店に向かう途中に兵隊に絡まれたところを、ハウルに助けられます。実はハウルも荒地の魔女の追手から逃げる最中で、ソフィーと逃げることでピンチを回避します。ハウルとはそのまま別れたものの、荒地の魔女に目をつけられてしまったソフィーは、荒地の魔女に90歳のおばあちゃんへと変身する呪いをかけられてしまいます。店にいられなくなったソフィーは呪いを解くため、旅に出るのでした。

荒地の魔女は序盤、悪役として圧倒的な存在感を放つものの、憎めないキャラとして愛されるキャラです。そんな荒地の魔女はハウルの心臓を狙っています。ここからは荒地の魔女とハウルの関係や過去について紹介します。

荒地の魔女がハウルを狙っていた理由として考えられることはいつくかありますが、有力な理由の一つは、若さと美しさを手にいれる為です。荒地の魔女は若さや美しさに執着しており、ハウルの心臓を得ることでハウルの強大な魔力を手にし、若さや美しさを保とうとしていたと考えられています。もう一つの理由は、荒地の魔女はハウルが好きで、ハウルの心を欲しがっていたからと考えられています。

実は荒地の魔女はハウルの元カノだったのではないかという説があります。ハウルと荒地の魔女は一見、荒地の魔女がハウルを一方的に追い回している関係のように描かれていますが、実は過去に関係があったと考えられています。ここからは荒地の魔女はハウルの元カノだと言われる理由を3つ紹介します。

理由の1つ目は、荒地の魔女の意味深なセリフです。荒地の魔女がソフィー達の一員となった後、ソフィーと荒地の魔女の会話の中で、ソフィーが荒地の魔女に「恋をしたことはあるの？」と尋ねると「今もしてるよ」と意味深に答えます。そして「男なんか仕方ないけど、若い心臓は良い」とも発言し、過去も今もハウルに想いを寄せているのではないかと考えられているのです。

2つ目の理由は、ハウルの意味深なセリフです。ハウルが荒地の魔女との関係を話した時に、「面白そうな人だと思ったから自分から近づいたが、逃げ出した、恐ろしい人だった」と発言しています。ハウルは好奇心から近づき、2人は一時は近い存在だったものの、ハウルが逃げ出したことで2人の関係は終わったのではないかと考えられています。

理由3つ目は、荒地の魔女がハウルの童貞を奪ったとされている点です。「三鷹の森ジブリ美術館」にて上映されている『星をかった日』という短編映画は、実は若き日の荒地の魔女とハウルを描いたものであるとされています。また、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーも「ハウルの童貞を奪ったのは荒地の魔女」と述べていることから、2人が過去に関係があったことは間違いないようです。

荒地の魔女は普段、中年の貴婦人の姿をしていますが、物語中盤で老婆の姿になってしまいます。なぜ老婆になってしまったのか、その理由と、荒地の魔女が老婆になった階段のシーンについて考察しました。

荒地の魔女がサリマンのいる王宮へ向かった理由は、サリマンから王宮へ来るよう呼び出されたためです。50年前、サリマンに王宮から追放された荒地の魔女は、「50年間この時を待っていた」と発言しています。サリマンから呼び出されたのは、やっと自分の力が必要になったのだと荒地の魔女は考えていますが、実際はそうではなく、サリマンが危ない魔法使いを排除するためだったのです。

荒地の魔女は王宮に着きますが、王室に入る為にはかなり長い階段を登る必要がありました。さらにその階段は魔法を弾く仕様になっており、魔法が使えません。普段、荒地の魔女は使い魔たちに自分を運ばせているため、大きな体で長い階段を自力で登ることとなりました。荒地の魔女は汗だくになりながら、ソフィーに応援されながら、なんとか階段を登り切ります。

なんとか王室にたどり着いた荒地の魔女は、中央に一つだけ置かれた椅子を見て、我先に、とその椅子に座ります。ソフィーは別部屋に通されます。椅子に座って一息ついた荒地の魔女でしたが、突然部屋の電球がつき、人型の影が荒地の魔女の周りを囲みます。これはサリマンの罠で、強制的に荒地の魔女と悪魔との契約を切る為のものでした。魔力を失った荒地の魔女は魔力によって保っていた若さと美しさを失い、一気におばあちゃんへと変貌してしまうのでした。

映画『ハウルの動く城』での荒地の魔女は美しさと若さ、ハウルへの執着を見せるものの、魔力を失い、ただのおばあちゃんになってしまいます。ここからはそんな荒地の魔女の若い頃や、原作と映画版の違いなどを紹介します。

荒地の魔女の若い頃は、絵本原作の短編アニメ『星をかった日』で見ることができます。この作品は三鷹の森ジブリ美術館で随時上映されています。この作品の登場人物はニーニャとノナという人物ですが、荒地の魔女とハウルの過去という裏設定があるとされています。そこに登場するニーニャが若い頃の荒地の魔女で、彼女はとても幻想的で美しい女性として描かれています。

荒地の魔女がソフィーにおばあちゃんになる呪いをかけた理由は、ハウルの心臓を狙っていたことと、ソフィーへの嫉妬心からだと考えられています。荒地の魔女はハウルとソフィーが一緒にいたので、ソフィーを使えばハウルを捕まえられると考えたからだとされています。もう一つの理由は、ハウルとソフィーが親しい仲に見えたため、嫉妬心からソフィーにおばあちゃんになる呪いをかけたとされています。

荒地の魔女は原作と映画版で少し違います。原作の荒地の魔女はソフィー達の仲間になることはなく、最後まで敵としてハウル達と戦い続けます。原作の荒地の魔女はサリマンにも勝利してしまうほどの実力者として描かれています。さらに原作では、ハウルが追いかけているのはソフィーの妹で、荒地の魔女がソフィーをその妹だと勘違いして、呪いをかけたという経緯でした。

映画版『ハウルの動く城』にて荒地の魔女の声優を担当したのは、美輪明宏さんです。美輪明宏さんは、『ハウルの動く城』以外にも、ジブリ作品の『もののけ姫』にて山犬神のモロの声優も担当しています。

荒地の魔女の声優は歌手やコメンテーターとして活動する美輪明宏さんです。監督の宮崎駿さんからは「何度荒地の魔女の顔を描いても、美輪明宏さんになってしまうので、キャラクターデザインのモデルになってほしい」と依頼されたという逸話も残っています。

美輪明宏さんは1935年生まれ、長崎県出身で、現在の所属は自分の個人事務所である株式会社オフィスミワです。1951年、15歳の時、国立音楽高等学校へ進学するために上京します。下積み時代を経て、1957年にシャンソン曲である「メケ・メケ」を日本語でカバーすると、その妖艶な姿と圧倒的な歌唱力で人気を集めます。その後、紆余曲折を経て、現在も唯一無二の存在として舞台、歌手、声優など様々な場で活躍しています。

美輪明宏さんの主な出演作品は『もののけ姫』のモロです。『もののけ姫』は1997年に上映されたスタジオジブリの長編アニメーション作品です。監督は宮崎駿さんです。美輪明宏さんは300歳の山犬モロの君の声優を担当しています。人間に捨てられた少女サンを自分の子として育てるも、自然を破壊する人間を憎むという役どころです。美輪明宏さんの艶っぽい声と貫禄がモロをより魅力的に見せ、作品をより盛り上げています。

ハウルと荒地の魔女の過去の関係を描いたとされる作品がジブリ美術館で観られますが、月イチで別の作品に変わってしまうことを残念に思っているファンの声があがっていました。この作品はジブリ美術館でしか観れない為、円盤化してほしいという声もあるようです。

荒地の魔女がおばあちゃんになったシーンが好きという声もありました。登場当初は、魔女らしく恐ろしい姿をしていた荒地の魔女ですが、魔力を抜かれて、可愛らしいおばあちゃんになってしまいました。ハウルがとにかくかっこいいという声も多くあがっていました。

荒地の魔女が作品中一貫して、ハウルの心臓を狙っていたのが怖いという声もありました。荒地の魔女はハウルの心臓にとても執着しており、魔力を抜かれて無害な老婆になった後も、ハウルの心臓を狙うなど、常にハウルの心臓を狙う姿が恐ろしいと感じたようです。

荒地の魔女とハウルには、作中では語られない深い関係が過去にありました。ハウルと荒地の魔女は元恋人で、それが原因でハウルは追いかけられ、ソフィーはおばあちゃんになる呪いをかけられてしまいました。ハウルと荒地の魔女の関係を知った上で『ハウルの動く城』を鑑賞してみてはいかがでしょうか。