【千と千尋の神隠し】大根の神様のおしらさまとは？千尋を助けた理由も

『千と千尋の神隠し』の舞台となる油屋に白い巨大な「大根の神様」が登場します。その異様な出で立ちにジブリファンの注目を浴びました。ここからは「大根の神様」と『千と千尋の神隠し』の作品について紹介します。

『千と千尋の神隠し』に登場する白い大根の神様の名前は「おしらさま」といいます。しかし本編では、名前を呼ばれているシーンはありません。朱色の盃を逆さまに被り、とてもふくよかな体型をしています。

『千と千尋の神隠し』は、2001年に公開されたジブリ映画の長編アニメーション作品です。原作、脚本とも宮崎駿監督が手がけ、興行収入は316億8000万円を記録し『タイタニック』を超え日本興行収入第1位を達成しました。宮崎駿の友人である10歳の少女を喜ばせたいというきっかけで制作された本作は、第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞しています。

『千と千尋の神隠し』の主人公・萩野千尋は、両親とともにニュータウンへ引越しする途中、父親の気まぐれで森の中の不思議なトンネルを通り無人の町へと迷い込みます。しかしそこは、人間が足を踏み入れることが許されない八百万の神々が住む世界だったのです。神々の食べ物を勝手に食べて豚にされた両親を救うため、千尋は油屋で働くことになるのでした。

人間が関わってはいけない領域に、足を踏み入れてしまった千尋と大根の神様はどのようにして出会ったのでしょうか？ここからは『千と千尋の神隠し』の作中で、白い大根の神様が千尋を助けたシーンとその理由について考察していきます。

人間が踏み入れてはいけない世界に迷い込んだ千尋は、豚になってしまった両親を救うために「油屋」で働くしかありませんでした。油屋で働くには、主人の湯婆婆との契約が必要です。しかし人間である千尋の存在がばれてしまい、騒動となってしまいました。そのときに助けてくれたのが、油屋の従業員であるリンです。千尋の存在を隠しつつ、最上階に繋がるエレベーターに向かっていたところ、後ろから大根の神様がついてきました。

そのとき「人間臭い」と、他の従業員にリンは呼び止められてしまったのです。万事休すの場面で大根の神様の白い巨体が千尋を隠し、エレベーターに乗り込むことに成功しますが、大根の神様も一緒に乗ってきました。そのチャンスを逃すまいと、リンは大根の神様にレバーを引くよう案内します。そして死角に潜む形になった千尋が、めいいっぱいに腕を伸ばしてレバーを引き、最上階へと向かうことができたのです。

大根の神様が千尋を助けた理由は、千尋を気に入ったからという説があります。「人間のにおいがする」と従業員が過敏になっていた様子を見せるのに対し、大根の神様は物怖じせず千尋が自身の体に押し潰されないよう、片腕で支えているシーンがありました。その後、エレベーターは最上階に到着して大根の神様は千尋にお辞儀をすると、そのままエレベーターで下の階へと降りて行ったのです。千尋に言葉をかけることはありませんでしたが、おびえている千尋を安心させようとしたのかもしれないと推測されます。

大根の神様がエレベーターに乗ったのは、ただの偶然だともいわれています。エレベーターで大根の神様と出会ってしまったとき、リンは千尋の存在をごまかすために「このエレベーターは上には行かない」と、他を探すよう促しました。その言葉を耳にした大根の神様は、上に向かうエレベーターに乗るために2人についていった可能性があると考えられています。

しかし大根の神様は最上階に到着すると、千尋にお辞儀をして下へと降りて行ったため、最上階に行く理由はなく、やはり千尋を助けたかったのだといわれていました。

インパクトのある見た目の白い大根の神様には、ある神様がモデルとなっています。ここからは『千と千尋の神隠し』の大根の神様のモデルや、かわいいといわれている登場シーンについて解説していきます。

『千と千尋の神隠し』に登場する白い大根の神様のモデルは、東北地方（主に青森県や岩手県）で信仰されている「おしらさま」という家の神です。一般には蚕の神、農業の神、馬の神とされています。ご神体の多くは、桑の木で作った約30cmの棒に男女の顔や馬の顔を書いたり彫ったりし、布切れで作った衣装を着せたものです。そのご神体は2体1対で祀られています。ちなみにおしらさまは子供が好きだといわれていて、大根の神様が千尋を助けた理由ではないかとも考えられていました。

東北地方で信仰されている「おしらさま」をモデルとする大根の神様は、登場シーンのときに鳴る音がかわいいと話題になりました。大根の神様が動いたり歩いたりするときに「キュッキュッ」と音が鳴るのです。白い巨体から出る意外な音が、とてもかわいいとファンの癒しになっています。

どっしりとした存在感をかもし出している大根の神様ですが、軽快に踊っているシーンがかわいいと注目を浴びました。オクサレさまが油屋にやってきて綺麗になって帰るとき、大根の神様は両手に扇子を持ち白い巨体を揺らしながら踊っていたのです。笑顔で踊る大根の神様がとてもかわいいと、ファンの視線を釘付けにしました。

『千と千尋の神隠し』の作中で、油屋に現れた白い大根の神様ことおしらさまの声を担当したのは現在も第一線で活躍している有名俳優です。ここからは『千と千尋の神隠し』のおしらさまの声優について紹介していきます。

白い大根の神様で人気のおしらさまの声を務めたのは、俳優の安田顕です。セリフはありませんが、うなるような声や千尋とのエレベーター内で少しだけ声を出すなどのシーンがあります。わずかな出演でしたが、存在感のある役として大きな話題となりました。

俳優業を中心に活動している安田顕は、TEAM NACSのサブリーダーを務めていて、リーダーの森崎博之、メンバーに戸次重幸、大泉洋、音尾琢真がいます。連続ドラマや映画に多数出演していて、幅広い役を変幻自在に演じる実力派俳優です。

『千と千尋の神隠し』に登場する大根の神様が、かわいらしくて抱きつきたいという声がありました。容姿の特徴から大根の神様と呼ばれていましたが、公開してしばらくしたのちに「おしらさま」という、本当の名前を知ったファンも多いです。

おしらさまが大根の神様ではなかったことに、衝撃を受けている声もあります。初めて見た人のほとんどが、おしらさまは「大根」の神様だと思っていたようです。『千と千尋の神隠し』で登場したおしらさまは、大根そのものであるため「大根の神様」と思い込んでしまうファンも多くいました。

『千と千尋の神隠し』には、個性豊かなキャラクターが多く登場します。そのなかでも、大根の神様ことおしらさまが一番かわいいという声がありました。大根の神様が扇子を持って踊るシーンは、特に好評だったようです。

『千と千尋の神隠し』に登場するおしらさまの声優が、俳優の安田顕だと知って驚いている声もありました。ジブリ映画では意外と思われている俳優が出演しているため、多くのジブリファンを驚かせています。

東北地方に住んでいる人にとって、おしらさまと聞くと2体1対をご神体とする神様しか思い浮かばないと言った声もありました。『千と千尋の神隠し』に登場するおしらさまの姿は、白い大きな大根です。東北地方で信仰されているおしらさまとは全く違う姿であるため、違和感を覚える人もいるようです。

『千と千尋の神隠し』に登場する白い巨体の大根の神様は、千尋を助けた心優しい神様でした。東北地方で信仰されている「おしらさま」がモデルとなっていますが、ご神体と比べるとイメージが全く違います。しかし子供好きな優しいところが「おしらさま」と同じです。セリフはありませんが、大根の神様の声優を務めた安田顕がうなるような声を出していました。以上のことを意識しつつ、改めて『千と千尋の神隠し』の白い大根の神様ことおしらさまの魅力に触れてみてください。