【千と千尋の神隠し】カオナシが千尋に執着した理由は?正体やモデルも解説
千と千尋の神隠しに登場するカオナシの謎について解明していきます。宮崎駿監督の千と千尋の神隠しに登場するカオナシは、なぜ千尋に執着したのかを紹介。また、カオナシの正体やモデルになった人物、宮崎駿が込めたメッセージについても解説していきましょう。
目次
【千と千尋の神隠し】カオナシとは?
人気ジブリ作品である千と千尋の神隠しには、さまざまな個性的なキャラが登場します。その中でも謎めいていると言われるのが、カオナシの存在でしょう。この記事では、千と千尋の神隠しに登場するカオナシの正体に迫っていきます。
カオナシとは?
カオナシとは、千と千尋の神隠しに登場する謎に包まれたキャラクターです。黒い胴体をしており、若干透き通っている身体が特徴的でしょう。顔にはお面のようなものを付けており、作中ではお面の下に口がありました。お面をつけているため、表情は一切分かりません。セリフも「あ」「え」を言うのみで、話すことはありませんでした。手から相手の欲しがるものを出している様子も見られました。
千と千尋の神隠しの概要
千と千尋の神隠しは監督に宮崎駿が入り、10代の少女に向けた作品として作られたものです。千と千尋の神隠しは、それまでトップにいた『タイタニック』を抜いて、日本歴代興行収入で1位を獲得する人気ぶりでした。再上映の際も多くの人が映画館に足を運んでおり、週末観客動員数は1位となりました。また、2022年には、豪華なキャストで話題になった舞台化も記憶に新しいでしょう。
千と千尋の神隠しのあらすじ
引っ越し先へ向かう途中に不思議なトンネルに出会った家族は、父親を先頭にトンネルの中へ入っていきます。娘の千尋は拒みながらも父と母についていきましたが、その先の謎に包まれた不思議な世界で、父と母はお店で食事をしてしまいます。すると、人間ではなく豚の姿になってしまいました。千尋は豚の姿になってしまった両親を助けるため、油屋で働くことを決意するのでした。
【千と千尋の神隠し】カオナシが千尋に執着した理由を考察
カオナシは千と千尋の神隠しの主人公である千尋に対して、執着する様子を見せていました。では、なぜカオナシは千尋に対して執着する様子を見せたのでしょうか。ここでは、カオナシと千尋の謎の関係性について見ていきます。
千尋とは?
千尋は千と千尋の神隠しの主人公になり、10歳の少女です。無断飲食のせいで豚の姿になってしまった両親を救い出すため、不思議な世界に存在している油屋で働くことになります。千尋は油屋で唯一の人間になり、その他のキャラは人間の見た目をしていても人間ではありません。
そのような中に飛び込み、わがままで人に頼りきりだった千尋は、大きく成長を遂げることになります。カオナシを含む多くのキャラとの関係性が明確になっていき、不思議な世界を後にする千尋の姿に感動を覚えることでしょう。
カオナシだけは最初から千尋の正体に気づいていた?
カオナシが千と千尋の神隠しで初めてスクリーンに映るのは、千尋がハクに連れられて油屋の前の橋を渡るシーンです。ハクは千尋に息を止めるよう指示をしたところ、息を止めた千尋は油屋の従業員や客からは見えなくなったような状況におかれます。しかし、カオナシは千尋に目を向けるような仕草をしており、千尋の正体に気付いていたのではないかと言われています。
実際、青蛙がハクに声をかけたとき、驚いた千尋は息をしてしまって周りに存在が気付かれていました。カオナシにはハクの魔法ともいえるものが効果なかったのか、もしくは千尋の正体に気付いていたのかのどちらかといえるでしょう。
カオナシが千尋に執着した理由や意味
カオナシは物語の中で千尋に対して、とても執着している様子を見せます。油屋では「千を出せ」と命令したり、千尋を小馬鹿にした兄役を食べてしまう様子も見せました。千尋が求めるものを与えようと必死になる姿を見ると、なぜカオナシが千尋に執着したのか謎に思う人も多いでしょう。カオナシが千尋に執着した理由は、自分のことをしっかり見てくれて油屋に招き入れてくれた優しい存在であることがあげられます。
また、千尋は不思議な世界に足を踏み入れたことで、孤立した存在でした。カオナシは自分も一人の中で、独り者同士ということから仲間を見つけたと思ったのかもしれません。千尋に対して自分の居場所を見つけられるかもしれない、という意味も込められていたのでしょう。千尋が他の者のように、自分に欲望を見せなかったことも理由に値するかもしれません。
【千と千尋の神隠し】カオナシの正体やモデル・謎を考察
ここからは、気になるカオナシの謎を解明していきます。カオナシの正体やモデル、歌について紹介していくため参考にしてみてください。また、監督である宮崎駿がカオナシに込めたメッセージについても紹介します。
カオナシはどこから来た?
千と千尋の神隠しのカオナシは油屋の前の橋に居たのが初登場シーンになり、どこから来たのかは描かれていません。そのため、カオナシが元居た場所がどのような場所なのか、謎のままでしょう。千尋に執着した理由が、居場所がないからというのであれば、カオナシの居場所は見つからなかったのかもしれません。どこから来て油屋に辿り着いたのか、誰かに見つけてほしかった可能性が高いでしょう。
カオナシの正体は神様?
千と千尋の神隠しのカオナシの正体が気になる人も多いですが、カオナシは神様といわれる理由について探っていきましょう。カオナシの正体が神様ではないかと言われる理由は、油屋の客には神様たちが訪れるからです。油屋は神様たちが疲れを癒しに来る場所と湯婆婆も言っているため、油屋に訪れたカオナシの正体は神様説が浮上しました。
しかし、油屋の従業員が橋に居るカオナシを招き入れる様子はなく、カオナシが千尋に油屋へ招き入れられた際に湯婆婆は、「何か紛れ込んだね」と言っています。この後、オクサレ様が現れますが、その正体は名のある川の主だったため紛れ込んだのはカオナシではないかといわれています。
カオナシの正体は悪魔?
千と千尋の神隠しのカオナシの正体が神様ではないかと言われていますが、反対に悪魔という声もあがります。見た目的には神様の風貌ではなく、どちらかというと悪魔や妖怪といった見た目をしているのが理由でしょう。金を自分の身体から発生させて、千尋を誘惑している様子は、悪魔のサタンそのものともいわれています。
しかし、金を使って相手を満足させる様は、欲望を形にしたものともいえるでしょう。カオナシは誰しもの心にある欲望を、姿形にした生物ではないかともいわれているのです。
カオナシの正体はハク?
千と千尋の神隠しのカオナシの正体がハクという噂がありますが、なぜ関わりがあまり無いと思われるカオナシとハクの話が浮上したのでしょうか。実は、意外にも多くの人が気付いていないのが、カオナシとハクは同じ場面で登場することがありません。
カオナシとハクは交互に物語に登場しており、ハクはカオナシの姿を最終的に見ていないのです。銭婆の家に千尋を迎えに行くシーンがあり、そこでカオナシは銭婆の家に留まることになったため、ハクという線は薄いといえるでしょう。
カオナシの声が変わる理由
初めは「あっ…えっ…」と言葉にならない声をカオナシは出しており、青蛙を飲みこんでからは流暢に話すことができています。カオナシの声が変わる理由は、飲み込んだものによって異なるのかもしれません。油屋でもてなしをされて食事をたらふく食べた後、千尋を出すように従業員に伝えます。
そのときの「千を出せ」の声は、青蛙以外の声色もしていました。千尋に対して砂金を欲しがるよう「欲しがれ」と言うときも、声色が数個出てきています。なぜ、いくつもの声を出せるのかは不明ですが、飲み込んだ生態やその他の何かが関係しているのではないかといわれています。
カオナシの歌がある?
ジブリ作品は千と千尋の神隠しに限らず、劇中歌が多くサウンドトラックも人気です。千と千尋の神隠しも多くの劇中歌がありますが、使用されていないものの話題になっているのがカオナシの歌です。カオナシの歌は宮崎駿が作詞をしており、作曲は久石譲、歌っているのはムッシュかまやつです。カオナシをモデルにした歌は、カオナシの気持ちを代弁しているような歌詞になっています。
「さみしい」「ひとりぼっち」「食べちゃいたい」といった歌詞が入り、カオナシが一人で寂しい気持ちを乗せています。また、千尋のことだと思われる、「かわいい君を食べたい」といったニュアンスの歌詞は、カオナシが千尋に対して執着した理由が分かるでしょう。カオナシは感情を持っていない生態と思われていましたが、この歌では「悲」の感情があることが分かります。
カオナシのモデルは米林宏昌?
千と千尋の神隠しのカオナシの見た目はよく見るとシンプルで、お面も特徴的な部分はなく親しみやすさも感じることでしょう。そのようなカオナシですが、モデルになった人物がいるといいます。カオナシのモデルになったのは、ジブリ作品の『借りぐらしのアリエッティ』で監督を務めた米林昌宏です。
千と千尋の神隠しで坊の声優にキャスティングされた神木隆之介も、カオナシのモデルといわれている米林昌宏を見たときに「カオナシだ」と思ったと後に語っています。そのため、カオナシのモデルになったといわれる米林昌宏は、よほど似ているのでしょう。
しかし、宮崎駿はカオナシのモデルに米林昌宏を当てはめてはいないといいます。セレモニーで宮崎駿自身が、「描いたカオナシが米林昌宏にそっくり」と発言したことで、カオナシのモデルという噂が広がりました。
カオナシに宮崎駿監督が込めたメッセージ
千と千尋の神隠しのカオナシは、宮崎駿監督からのメッセージが込められたキャラです。宮崎駿はカオナシについて、「誰の心にも居る」と話します。カオナシは、居場所がなくひとりぼっちの悲しいキャラでした。自分を認めてくれた千尋に対して執着を見せ、自分ができる最大の武器ともいえる砂金を出して周りを喜ばせます。そのような部分は、人間に当てはめるとカオナシと同じ気持ちになる人も少なくないでしょう。
千と千尋の神隠しのカオナシは悲しい気持ちしか持っていないと思われがちですが、最終的に銭婆という自分の居場所を見つけます。今、自分の居場所が見つからないという人でも、最終的に自分の居場所を見つけることができるという、宮崎駿からのメッセージといえるでしょう。
【千と千尋の神隠し】カオナシの登場シーン
カオナシの正体について紹介してきましたが、ここからは千と千尋の神隠しでカオナシはどのようなシーンに登場するのか紹介していきます。カオナシは物語のキーともなるキャラのため、意外にも出番が多いキャラです。
登場シーン①千尋との出会い
カオナシの初登場シーンは、千尋がトンネルを通り出会った不思議な街にある油屋の前の橋でした。ハクの魔法で息を止めることで千尋の姿は他の誰にも見えなくなりましたが、カオナシだけは千尋を見つめていました。その時千尋は、息を止めることに必死でカオナシの存在には気付いていません。無事に油屋で働けることになった千尋は、ハクに呼び出された両親の元へ向かうことになります。
まだ、油屋で働いている人達は熟睡しており、油屋の外には誰も居ませんでした。千尋は橋を渡ってハクと両親の元に向かいますが、その橋の上でカオナシと出会います。カオナシは千尋を見つめており、千尋も会釈をしてその場を去りました。そして、千尋が油屋で働きはじめた日は雨が降っていました。
千尋は自分の仕事をこなしていましたが、雨の中で外に居るカオナシに気付きます。雨に濡れてしまうことを心配した千尋は、カオナシに「ここ開けておきます」と扉を開けておくことを伝えました。その言葉に沿うように、カオナシは油屋の中に入りこむのでした。
登場シーン②油屋で暴れる
油屋に入ったカオナシは、千尋に薬湯の札を渡すなど好意を見せます。その日、オクサレ様という神様が油屋にやってきて、油屋はパニックになりました。しかし、オクサレ様の正体は名の知れた神様と判明し、去った後に油屋には砂金が残されていました。油屋が閉まった後、砂金を独り占めしようとした青蛙がやってきます。カオナシは砂金を続々と出し、青蛙を誘い飲み込んでしまいました。
その後、カオナシは砂金を出してくれる客としてもてなされます。大量の食事を食べつくし、砂金を大量に出すのでした。しかし、ハクの一大事に追われていた千尋は、砂金を出すカオナシに「いらない」とはっきり伝えます。カオナシはショックを受け、油屋の中で暴れ出すのでした。
登場シーン③銭婆のところへ行く
油屋で暴れたカオナシでしたが、銭婆のもとに向かう千尋を追いかけます。そのころには、食事を食べて巨大化した身体は元に戻っており、出会った頃のカオナシでした。そのまま千尋たちとともに電車に乗り、銭婆の元へ向かいました。銭婆の元で初めて自分の居場所を見つけたカオナシは、どこかしら優しい表情をしており、そのまま銭婆の元で暮らすことになります。千尋たちが去っていき、銭婆との暮らしが始まるのでした。
【千と千尋の神隠し】カオナシの声優
カオナシの声優は「中村彰男」
カオナシにはセリフが少なく、「あ」や「え」といった発言をします。しかし、その声にはとても注目が集まり、声優にキャスティングされた中村彰男は一躍話題の人となりました。千と千尋の神隠しの公開当時、テレビ番組にも顔出しで登場した過去を持っています。
中村彰男のプロフィール
中村彰男は1960年3月3日生まれの山口県出身、血液型はO型です。1983年から芸能活動をしており、主に舞台俳優として活動を続けています。声優では、千と千尋の神隠しの他に『もののけ姫』やアニメにも出演していました。
中村彰男の主な出演作品
テレビアニメ『交響詩篇エウレカセブン』でマシュー役にキャスティングされ、映画にも声優として登場しています。舞台は『オセロー』が初舞台になり、その後は『ロミオとジュリエット』や『雪国』、『ミセス・サヴェッジ』といった舞台で活躍を見せました。
【千と千尋の神隠し】カオナシに対する世間での評判や人気
カオナシは正体不明のキャラクターのため、その正体を知りたいという人が多くいます。神様なのか悪魔なのか、はたまた別の生態なのか気になる人は多いでしょう。
カオナシは「さみしい」と発しているシーンがあり、大人にはこのセリフが刺さるという人が多いです。それは、宮崎駿がカオナシが誰の中にも居ると言っているように、自分自身の寂しさに響いているのでしょう。
千と千尋の神隠しで電車に乗り込む千尋を追いかけるカオナシは、波にあおられます。実はこのシーンが「かわいい」と話題になり、カオナシのファンが増えたシーンでもありました。
【千と千尋の神隠し】カオナシの正体には謎が多かった
カオナシの正体には謎が多く、正体は定かになっていません。謎の多いカオナシですが、宮崎駿がいうように人間の中に住んでいる感情を形にしたものであるとみてよいでしょう。カオナシが寂しいキャラであることを踏まえて、千と千尋の神隠しを見てみてください。
この記事のライター
N.R
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