【銀魂】坂田銀時のモデルは誰？説が多数！それぞれを考察

坂田銀時のモデルを探る前に、まずは坂田銀時に関する基本情報と意外と知られていない初期設定について見ていきましょう。

坂田銀時は10月10日生まれの身長177センチ、体重65キロの男性で、銀髪の天然パーマと死んだ魚のような目が特徴です。攘夷志士時代では白夜叉の異名で恐れられた存在でしたが、現在は歌舞伎町で何でも屋の万事屋を営んでいます。極度の甘党であり、愛読書は『週刊少年ジャンプ』。無気力な雰囲気といい加減な性格をしていることから生活態度に難はありますが、いざという時には情の厚さと頼りがいのある姿を見せる人物です。

坂田銀時は『銀魂』の主人公キャラでありながらもどこか抜けている部分があり、完璧な人間ではないように描かれています。しかし、大切なモノを守るために戦う姿やシリアスな場面での表情はかっこよさに溢れるものであり、その両方が愛されるキャラクターとなっています。そんな坂田銀時のキャラクター性はどのようにして作られていったのかは、他のキャラクター同様にモデルからの由来である可能性が考えられます。

「銀魂」は連載前の初期設定が存在しており、その設定では万事屋ではなく真選組が主体となっています。そして、初期設定での主人公は見た目は現在の坂田銀時に近い土方というキャラクターだったのです。しかし、原作者の空知先生が元となる真選組の土方歳三を崩したくなかったことから、主人公の見た目のみ本編に引き継がれました。一方、真選組の土方歳三は土方十四郎として別のキャラクターになりました。

初期設定のモデルは土方歳三でしたが、見た目だけが引き継がれたため、現在の坂田銀時の名前やキャラクター性は他のモデルが存在することになります。そして、そんな坂田銀時のモデルは土方歳三が土方十四郎となるように一人の人物がモデルとなるわけではなく、多数の人物をモデルにしているのではないかという噂があります。

坂田銀時という名前を見た時、知っている人であれば童話でも有名な金太郎との関連を思い出す人がいるかもしれません。まずは金太郎説を見ていきましょう。

金太郎は平安時代に源頼光へ仕えた四天王である武将「坂田金時もしくは坂田公時（両方ともさかたのきんとき）」の幼名です。童話の「金太郎」では鉞を担いだり、熊と相撲を取ったりしたことが歌われています。これは金太郎の幼少期にあったとされる出来事を表していますが、出生や育ての親については様々な由来があるのでこの限りではありません。有名な話では山姥に育てられながら山で動物たちと生活しており、力の強い子であったと言われています。

そんな金太郎はある日、鬼退治へ向かっていた侍の源頼光と出会い、その実力と人間性を認めて家来に誘われ、付いて行くことになります。そして、侍となった金太郎は名を坂田金時と改めて、源頼光四天王の一人として、大江山の鬼を退治するなどの活躍を見せました。この活躍についても様々な伝説があり、英雄的な扱いをされる人物です。

金太郎が名を改めた後の坂田金時もしくは坂田公時は、坂田銀時と一文字違いであり、このことから坂田銀時の名前の由来は金太郎（坂田金時）であることがわかります。後に「銀魂」では全く同じ名前の「坂田金時」が登場しますが、こちらは先に登場している坂田銀時に対抗するキャラクターとしての名前なので、「銀魂」の坂田金時は武将の坂田金時をモデルにしているわけではありません。

また、金太郎の見た目は子どもの時代であれば大童という髪型をしており、赤い前掛けをして鉞を担いだ姿が描かれることが多いものです。アニメ「銀魂」ではこのうち、赤い前掛けと鉞を担いだ坂田銀時が描かれたことがあり、名前の由来としてネタにしていたことがあります。

金太郎（坂田金時）が坂田銀時の名前の由来であることは間違いないですが、キャラクター性まで参考にされたかは定かではありません。金太郎（坂田金時）は鬼退治するほどの強さを持っており、作中の坂田銀時も夜兎を始めとする強力な天人（あまんと）に対抗できる強さを持っています。また、坂田銀時は高杉晋助・桂小太郎・坂本辰馬の四人で「攘夷四天王」と呼ばれており、源頼光四天王であった部分も由来であるように見えます。

しかし、「銀魂」の舞台は江戸時代の幕末が舞台であるのに対して、金太郎（坂田金時）は平安時代を生きた人物です。「銀魂」の他キャラクターは主に江戸時代前後にいた歴史上の人物をモデルとしているので、金太郎（坂田金時）だけ大きく時代が異なる存在になってしまいます。坂田銀時は高杉晋助たちと同じ時代を生きたこともあり、名前の由来以外の部分が参考にされているかは疑問が残るところです。

坂田銀時のキャラクターとしての立ち位置や生き様について、久坂玄瑞がモデルではないかという説があります。攘夷時代を生きた久坂玄瑞を見ていきましょう。

久坂玄瑞は藩医である久坂家の三男として生まれ、幼名は秀三郎と名付けられました。そして、医者となるために幼少期から私塾の松下村塾や藩校で学んでいきます。しかし、彼が15歳になるまでの間に母・兄・父が次々と亡くなったことで、早々に久坂家の当主となり、そこから玄瑞に名前を改めました。それから17歳の時に宮部鼎蔵から吉田松陰の名を聞き、松陰と手紙のやり取りをした後、弟子入りすることになります。

弟子入り後は同門の高杉晋作・吉田稔麿・入江九一の三人と合わせて「松門四天王」と言われ、優秀な才能を伸ばしていきました。しかし、1858年に起こった安政の大獄で松陰が刑死した後から、攘夷運動の中心となって指揮を取りながら様々な行動を起こしていきます。最終的には負傷して逃れた後、1864年に自刃して享年25でその生涯を終えました。

久坂玄瑞が尊王攘夷運動に走ったのは師である吉田松陰が刑死したことがきっかけですが、それは自分たちの居場所を守るための戦いでもあったと言われています。一方の坂田銀時も天人に対する攘夷志士として、自分の居場所を守るための戦っています。坂田銀時は久坂玄瑞と異なり、自らの手で吉田松陽を手にかけてしまい、攘夷戦争後も生きていますが、それからも自分の場所を守る戦いを続けており、この生き様がモデルであると言われる理由です。

生き様以外でも坂田銀時と久坂玄瑞には共通点があります。久坂玄瑞が学んだ松下村塾は「銀魂」でも同じ名前で登場しており、幼少期の坂田銀時が学んだ場所です。また、「銀魂」の松下村塾を開いた吉田松陽のモデルは久坂玄瑞の師であった吉田松陰であり、関係性や攘夷に関わることになる部分も含めて近い部分があります。また、史実の松下村塾は高杉晋作も通っており、「銀魂」で晋作をモデルにした高杉晋助も同じく松下村塾に通っています。

そして、松田松陰は久坂玄瑞と高杉晋助を競い合わせて成長させようとしていた記録があり、この点は坂田銀時と高杉晋助の関係性と共通しています。更に「銀魂」の二人が「攘夷四天王」と呼ばれるところも「待門四天王」と呼ばれた点と共通点になります。残りの攘夷四天王である桂小太郎と坂本辰馬のモデルである桂小五郎と坂本龍馬も久坂玄瑞と交流した記録があるので、坂田銀時の攘夷志士時代のベースは久坂玄瑞である可能性が高いのです。

「銀魂」のキャラクターの中では朧も久坂玄瑞がモデルではないかと言われています。後に吉田松陽となる人格を持った虚と出会い、先生と慕いながら松下村塾を開くきっかけにもなった朧は、吉田松陽の一番弟子と言えます。そして、久坂玄瑞も吉田松陰にとっては一番弟子であり、信頼された立場でした。

生き様で見れば朧は吉田松陽を師事した部分はあっており、立ち位置で見れば一番弟子と朧の方が坂田銀時に近いと言えるのです。そんな朧が同じモデルとなった可能性のある坂田銀時や久坂玄瑞と競う立場だった高杉晋作もモデルとした高杉晋助と対峙するのは、何か因縁めいたところがあると考察する人もいるようです。

こちらは説ではなく、実際に参考にしているという言及があった人物です。しかし、真山徹と聞いてもピンと来ない人がいると思います。

真山徹は1999年に放送されたドラマ「ケイゾク」の登場人物の一人で、捜査一課弐係（通称：ケイゾク）の主任である警部補です。この作品の中心人物である女刑事の柴田純の相棒であり、彼女をからかうような言動をしながら、その実はぶっきらぼうでシニカルな人物です。犯罪に対して独自の正義感を持っていて、基本は理知的に犯人の本性を暴いていきますが、時には罵声や暴力的な行動を取るほど犯罪者を憎んでいます。

上記の通り、真山徹は歴史上の人物ではなく、テレビドラマの架空の登場人物なのですが、これは過去に「銀魂」の原作者である空知先生がインタビューを受けた際、坂田銀時のキャラクター像をイメージするため、参考にした一人として挙げた人物なのです。参考にしたのはみんなを引っ張る先輩でありながら何を考えているかわからない雰囲気であると発言していました。

真山徹から参考にされたのは雰囲気の部分ですが、真山徹は基本的にダルそうな雰囲気を出しており、そこは坂田銀時でも感じることがあるファンも多いようです。また、言動についてもどこかぶっきらぼうな部分は似ています。その一方で正義感については、真山徹はやや歪んだ正義感ですが、坂田銀時は芯の通った正義感を持っていると言われることが多いキャラクターです。あくまで雰囲気が参考にされたので、性格面はまた別と考えた方が良さそうです。

ここでは坂田銀時のモデルとされる三人の人物に対する世間の声や考えをピックアップしていきます。

名前の由来である金太郎（坂田金時）については知っている人が多く見られましたが、名前の由来のみではなく、ストーリーに沿った考察をしている人もいました。金太郎（坂田金時）が普通の人間ではなく、鬼退治を達成した英雄であることは、坂田銀時の見ようによっては化物じみた強さの由来であるとも考えられるなど、金太郎（坂田金時）の生い立ちや伝説も絡めていくと、別の楽しみ方ができるようです。

生き様に共通項がある久坂玄瑞については名前が全く異なるためか、聞いた時も初耳で知らなかったという人が多くいました。歴史好きな人であれば高杉晋助のモデルである高杉晋作の関係から久坂玄瑞にたどり着く人もいるようですが、こちらは金太郎（坂田金時）のようにわかりやすいものではなく予想の範疇であるため、知らない人が多いようです。ただ、人物像や生き様を確認した人は納得していました。

しかし、久坂玄瑞については朧のモデルである説を推す人もいます。明確な言及がないため、現在の予想はファンに委ねられている状態ですが、どちらにせよ朧も坂田銀時や高杉晋助の根底に関わる重要キャラクターとして見らているようです。

雰囲気が参考にされた真山徹についても久坂玄瑞と同じく金太郎（坂田金時）よりは知っている人が少ない状態です。原作者の空知先生の言及はあったものの、歴史上の人物と違って出てくる作品である「ケイゾク」を視聴していないと、似ていると確認しづらい点もあまり知られない理由である可能性が考えられます。一方で真山徹も知っている人からすると、一致率が高いと言われています。

最後に坂田銀時のモデルに纏わる謎について紹介していきます。後半の二つは長年の謎だったのですが、近年に事実が発覚しました。

金太郎（坂田銀時）が名前の由来であることから坂田銀時のみ平安時代の人物がモデルであるという説があります。他の主要キャラクターが真選組や攘夷志士など江戸時代周辺に近い中で、唯一平安時代の人物がモデルであるのは浮いているように見えますが、天人などを含めると様々なモデルや由来があることは確かです。

ただ、生きていた時代やモデルとなった周辺人物との関係性では久坂玄瑞の方が共通項が多くなっています。今回紹介したモデルを全員の要素を混ぜ合わせたキャラクターであるとも考えれますが、本当の人物モデルについては原作者の空知先生が言及していないため、未だにわからない状態です。

「週刊少年ジャンプ」の主人公は名前が冠するように小学生から高校生の少年であることが多いですが、坂田銀時はジャンプ作品の主人公の中では大人に分類されます。このことから坂田銀時は年齢不詳キャラと言われることもありますが、実際は連載当初から20代であることがわかっていました。坂田銀時は作中で飲酒やパチンコをしているので、成人済みであることは間違いなく、20代の範囲で様々な予想が打ち立てられていました。

20代から更に正確な年齢を割り出そうとすると、幼少期の吉田松陽との出会いから始まり、本編から約10年前の攘夷志士時代には18歳から20歳であったと予想され、万事屋として活動する本編中では20代後半が有力ではないかと囁かれていました。その理由の一つとして坂田銀時と何かと比較される土方十四郎の年齢が27歳と公開されており、土方十四郎を含む他のキャラクターの幼少期から現在を考えるとそれくらいの年齢が妥当であるからです。

そして、映画「銀魂 THE FINAL」の公開記念の特番において、原作者の空知先生から坂田銀時の年齢が27歳（映画における2年後の最終決戦では29歳）であることが発表されます。これによって連載中は年齢不詳キャラと言われた坂田銀時の年齢がわかり、結果として有力説で言われた土方十四郎と同い年であったことがわかりました。また、本編中の年齢がわかったことで攘夷志士時代の坂田銀時が17から18歳であることも明らかになりました。

今回は坂田銀時のモデルや由来について紹介と考察をしていきました。初期設定の土方歳三から始まり、名前では金太郎（坂田金時）、生き様では久坂玄瑞、雰囲気では真山徹と多数の人物に当てはまる部分がありますが、明確なのは金太郎（坂田金時）と真山徹の二人になります。今回紹介したモデルの要素に注目しながら改めて漫画やアニメ「銀魂」を見るとまた違った面白さがあるので、ぜひ漫画やアニメをチェックしてみてください。